涼 しい8月

 7月には「冷夏ではなかったようです」と書きました。それでも酷暑の日は数日あっただけでした。結局7月下旬の数日暑かっただけで、あとは平年並み。そし て、8 月に入ったら一転涼しい日が多く、雨か曇り空の日が多くなりました。やっぱり当初の懸念どおり全体的には「冷夏だった」(特に西日本では)という 結論が正しいようです。それに台風やら前線の影響で、豪雨災害が増えた8月でもありました。
 岐阜でもゲリラ豪雨になったこともありましたし、川もだいぶ増水しましたが、なんとか持ちこたえてくれました。
 広島の土砂災害は相当なもので、まるで山津波です。3.11の津波が山から来たような印象で、1時間に100ミリを超す豪雨と土の脆弱さによって多くのとこ ろで災害が起こってしまいました。都会の郊外で起こった災害ということで、脆弱な土地にたくさん家を建てざるを得なかったということも、災害が大きくなった原 因の一つのようです。
 話はかわって、例のSTAP細胞騒動についてです。この騒動は、7月に2つの関連したNature論文が撤回され、一つの決着をみましたが、不幸なことに8 月初めには重要な地位にいた笹井芳樹氏が自殺してしまいました。「山が崩壊した」という印象でした。そして、8月27日丹羽氏らによる検証実験の中間報告がだ されましたが、結局予想通り、弱酸性刺激によるSTAP現象は確認できなかったという報告がなされました。この中間報告の記者会見の模様はニコニコ生放送を 使ってネットで見ていましたが、検証実験の報告の最初からずっこけるような内容の連続でした。pH調整という学生実験なみの基礎的な作業ですら、再現性がな かったというのですから、呆気にとられました。これは理研の予算を使ってするような再現実験ではないな、とその時思いました。他のところでやってくれればい い。論文が撤回され研究不正が明らかになった段階ですぐ人事的処分を下すべきであったと思います。その上でなぜこのような不正な論文を出すに至ったのか、しっ かりと検証していく必要があったと思います。この期に及んでまだだれもちゃんと処分されていない、ということ自体おかしなことです。蛇の生殺し状態ではない か。これでは人も組織も芯から瓦解していきます。

 8月下旬にはいつもの学会に参加して、涼しい中、新しい脳の栄養を得て、後学期に備えます。東京はもう秋の気温でした。
9月はもっといい気候になりますように。

(2014.09.02)