あっという間に6月になってしまいました。まだまだと思っていたサッカーワールドカップ(
WC)も始まってしまいましたね。
4年前フランス大会の時は大分にいて、「4年後は大分でも試合がある」ということで楽しみにしていた WCですが、意外にも今は岐阜でテレビ観戦です。チケット入手は早々と諦め、テレビとインターネットで観ようと決めていましたから、選手と同じ風に当たって試合を楽しむ爽快な一体感は味わえませんが、多様な情報自体を楽しむことにしました。
それにしても、初戦のフランス対セネガル戦、すごかったですね〜。感じたのは、セネガルの選手の
スピード感と積極性。どんどんプレスをかけパスカットをしていくセネガル、ディフェンスも良いところにいて、何度かあったフランスの決定的なチャンスもバーに嫌われるようにシュートに余裕を持たせない高さと速さのある守り、組織的な攻守の切り替えの速さ。かなりフランスはボールを支配していたようですが、運もなく、負け。すばらしい選手が揃っていても、連携がまずかったり王者然としていたり想像力が低下して意外性が出なくなったりすると、こういうことが
WCでは起こるので、実に面白い!
しかし、選手単位で考えてみれば、セネガルの代表選手は大部分フランスのクラブチームに所属し「フランスで生活」している人たちですが、フランスの代表選手レ・ブルーの大部分はスペインやイギリスやイタリアのクラブに所属し「外国で生活」している人たちですので、どちらが勝ってもフランスだったんですよ、結局。…といってもしょうがないですが、ま、モチベーションの差だったんでしょうね。
この
WCは、グローバルヴィレッジ(地球村)の祭典とか謂われていますが、
WCは「世界の広さ、多様さ」を認識させてくれるイベントですね。
セネガル
ってどこだったっけ?とか、カメルーンとセネガルの国旗ってどこがちがうっけ?とか、普段考えないことを考えさせてくれる機会を与えてくれます。普段は、世界はアメリカとヨーロッパとアジアだけででデキている、みたいな感覚で生活していると、地球村の多様性を忘れてしまっていることに、
WCは気づかせてくれます。
スピード感、という言葉は、実は5月16日から始まった岐阜県と岐阜大学の主催で行っている
「国際ネット大学コンソーシアム」
の最初の授業で、石井威望先生の「アジアのスピード感」というタイトルでのお話の中で出てきたものでした。中国やシンガポールや韓国などの
ITやバイオ分野でのスピードは、日本のような脳天気なところから観ると驚異的なスピード感を持って迫ってきているように見えるようです。のんびりしていると、いつの間にかムーディーズによる日本国債の格付けが後進国並になりひどい評価をされるようになったりしてしまっています。やっぱり日本は世界の、というか、アジアのスピード感にはついていけないでいるのかもしれないなぁ、ホントに。
それから、このネット大学、サテライトの岐阜大学の方には毎回百名を超える学生の参加がありますが、
128Kの
Phenixのテレビ会議システム(まだあったんですね!)での悪い映像の割には、データ表示自体はローカルに同期して行っているので鮮明なので、良く講演内容が伝わってきます。「画質が悪いからやらない」のではだめで、やっぱり「とにかく工夫してやってみる」、のが大事なんですよ。そして、こういう遠隔の授業を経験した学生が増えてくることが重要。来年からは、このネット大学、岐阜情報スーパーハイウェイを使ったインターネットでの仕様になるようです。
先日、岐阜県八百津町にある「人道の丘」に行って、日本のシンドラーといわれている外交官・杉原千畝氏の記念館を観てきました。先日は例の、中国での亡命事件があって日本の外交のふがいなさを見せつけられた後だけに、その記念館でいろいろな資料をみるとかなり感動を覚えました。ただ、さらにイスラエルとパレスチナの戦争状態の現実を考えると、さらに複雑になります。そして、これが「地球村」の現実ということであり、そういう複雑な現実に面と向かって臨機応変に対応せざるを得ないのが外交なのであり、日本にも「昔は」すばらしい人がいたもんだと思いましたね。(#帰りの道沿いに、みやげ物屋があって、そこで作っている地元の椎茸の佃煮があったので買って帰って食べたら、結構美味しかったですよ。そこの経営者の方は岐阜大学農学部のご出身だそうです。)
グローバルヴィレッジという言葉は、実は10年くらい前の急速なインターネットの立ち上がりの時期にも謂われたものです。そしてその時期にも、ネットの発展のスピードについて行くために、地元のネットコミュニティをインターネット対応にするのに「走りながら考えていた」時期を思い起こします。
9600bpsなんて時代でしたけどね。それでも「外国の論文がすぐ読める!」などとそのスピード感に感動したものですよ。今はその千倍ぐらいのスピードですが、感動は千倍になっているのかどうか?
スピード感はそのスピードに乗ってしまうと感じなくなってしまうものです。ただブレーキが掛かったときには、感じますけどね、逆の力ですけど。
6月1日は大学の創立記念日。学生たちはソフトボール大会をやっているはずですが、私はといえば、岐阜大主催の教育関係のシンポジュームが岐阜駅近くであり、参加。こういう教育関連の改革でも、スピード感が大事だなぁ、と感じた次第。昼、新しく駅にできた本屋三省堂の前のカフェで食事をしましたが、ここのゴマサンド、舌触りも良いし美味しかったです。この店の名前が、「 Excelsior」、表計算ソフトの名前みたいなのですぐ覚えましたが、意味は「もっと上へ!(ニューヨーク州の標語)」だそうな。この心意気や、良し!
(2002.6.2)