世代交代


 この3月は様々な分野で人々の交代する時期です。
 3月の初めには、名古屋国際女子マラソンがあり、Qちゃんの惨敗を見せつけられ、新人中村の優勝でこの女子マラソンの分野でも世代 交代を、明確に意識させられました。 しかし、マラソンの申し子ともいえるQちゃんには、できれば選手権や五輪のような大会を意 識することなく、国内や国外での適当な大会でまた好きな風になったような走りを見せてほしいし、40歳代になっても一番良いコンディションで走って、どこ まで記録を出せるか見せてほしいと思います。サッカーでは、ジュビロ磐田の中山雅史や横浜FCの三浦知良も40歳になってもまだ現役でやっていますし、同 じ走る競技ですから、別の意味の競技者としての「おもしろさ」「老獪さ」を見せてほしい。そういえば、野球の野茂も今年で40歳ですが、まだMLBにチャ レンジしているし、ファンにはいつまでも見ていたい選手です。彼らは、アスリートとしての希望の体現ですから、調子のい い時も悪い時も、僕としてはその姿を見続けたいものです。しかし、彼らはチームプレイとしてやる場合は、調子の悪いときはいろいろ野次が飛んで大変だとは思いますが、マラソンのような個人競技は、堂々として出場したらいいんですよ、40代でも50代でも。
 
 大学においても、7年間学長を務められた黒木登志夫先生が退任されまして、4月から森先生に交代されます。27日にあった退任講演会「岐阜大学への遺言 状」でお聴きした話は、大変面白いものでした。たまたま企業の研究員のかたが打ち合わせに来ており、一緒に拝聴しましたが、大学法人のトップの意識の持ち 方と、企業トップの意識の持ち方の共通性などに思いを馳せることができました。お話の中で特に強調されていたのは、地方大学の頑張りをもっと評価すべきで ある、ということと、財務省など国家の予算配分のやり方が高等教育をあまりに軽視していることへの批判であったと思います。ただ、学部レベルの希望と方針 に関しては、学長方針とは異なっているところも多かったらしく、まだまだオール岐阜大としての「希望」が明確にはなっていないように思います。大学の掲げ るそれぞれの分野での「希望」が、国民にとって、さらに高校生など若者にとっての希望とマッチさせることができているのかどうか、よくよく検討すべきところで す。教育研究において、変わるべきところと、変わるべきではないところをよくよく考えるべきでしょう。さらに、「競争と評価」による上からの管理が強化さ れるあまり、効果的な教育や面白い研究の減少が進むことへの危惧を、しっかりと見つめることも重要でしょう。これは、大学だけではなく、初等中等教育にお いても、重要なことになっているでしょう。
 科学技術立国を唱える我が国の、教育システムの貧弱さが、NHK-BS1で(日曜日)放送されてい ました。初等中等教育における先生方の忙しさは、まさに構造的なものです。教員グループだけの頑張りではもう、どうにもいかなくなっている状況がよくわか りました。世代が代わっても、このような教育システムの貧弱さはどんどん引き継がれていくし、構造的にそうなっているのだから、そうならざるを得ない。こ れで学生や若者に、「理系の希望」を語れるか?相変わらず、「困ったものである」と愚痴をいうしかない。。。

(2008.03.30)