大波の予兆
長い休みが開けた2013年のお正月。そして,はやひと月が過ぎもう2月になります。
こ
の間も政治も経済もめまぐるしく動いています。政権が自民中心に戻ったら,政治家の一言で経済は円安に動き,なにかバブルの様相です。実体経済はちっとも
回復している感じがしないのに,期待感だけでこんなに経済が,為替が,株価が変動するものでしょうか?2013年はこれからまた激しく振動して,吉と出る
か凶と出るかはわかりませんが,大波が来る感じはします。バブリーな大波に乗れるか,反対に大波にさらわれるか・・・。
こんな動きを斜に構えて眺めていたら,退職金が減らされるという話が・・・。
国立大学では昨年からそういう話は聞こえて来ましたが,公立学校の教職員の方にも影響がでてきて,地方によっては早めに退職したほうが150万円ほどお得
になるとかで,3月になる前に退職する人が続出して社会問題化しています。そりゃあ同じ仕事をしていても少し時期が違うだけで退職金が数百万円も減ったら
その理不尽さに呆れ返りますわなぁ。使い捨てされるような感じを持たれたら,やはり老後に備えるために中堅消費者の購買意欲もなくなるのではないでしょう
か。壮年以上の人たちだけではなく,若者の職業観への影響も小さくはないと思います。これは国の制度設計の基本的な問題で,どうも政権が代わっても,やは
りちぐはぐでうまくできていません。
バブルではなく実体経済が良くなるというのは、当然多くの人の給料が良くなり、働く場も増え、買いたいと思
うものが増えて、お金が回ってこないといけないわけで、政治家の舌先三寸で踊ってしまうこんな軽い経済に期待できるものではないでしょう。ただ、経済が一
昨年の3.11大震災の前ぐらいには戻りつつあるのは集中的なテコ入れのおかげ、というのはすぐ理解出来ますが、海外の競争相手の存在も大きいのでそんな
に長く続いていくものでもないだろう、というのも分かるはずです。浮かれた気持ちもほどほどにお願いしたい。大事なのは浮かれた気持ちなどではなく、やり
遂げるという着実な強い気持ちの継続なのだと思います。
強い気持ちという点では、1月から始まったNHK大河ドラマ「八重の桜」のヒロ
インの生き方には学ぶべきことは多いと思います。これからが、どのような新しい視点で明治維新が描かれるか、とっても楽しみなのですが、いわば時代の敗者
(に作られてしまった人々)の強い生き様からいかに学ぶか。今の日本の家電やもの作り業界も学ぶことは多いと思います。会津藩士の子どもたちが守るべき掟
として知られている,什の掟,というのがありまして,その3,4,5番目には,「嘘言(うそ)を言ふことはなりませぬ,卑怯な振舞をしてはなりませぬ,弱
い者をいぢめてはなりませぬ」というのがあります。強い生き方というものには,子供の時からのそのような基本的心構えが必要だということであり,さらに相
手への視点や弱者への思いやりの視点が重要だということです。昔も問題になっていましたが現在でも盛んに問題になっている「学校でのいじめ」や「体罰」も
根は一緒の問題で,子供の時からの基本的態度がうまく育成できていないためではないか,と思っています。女子柔道のオリンピック強化選手に対するコーチの
体罰が問題になっていましたが,こんな指導で選手の気持ちが乖離してしまっていたので結局はオリンピックで勝つことができなかったんだなぁ,と変な話です
が納得してしまいました。勝つことを強制するというコーチの「自分への視点」しか無く,選手一人一人への視点,どう思っているかという視点が無かったので
は。
この1月末で62歳になり,岐阜大での退官まであと3年となりました。そんな31日誕生日の昼に,奥歯の詰め物が外れてしまいまし
た。少し固いナッツを食べた時に欠けてしまったのですが,結局詰め物の内側で虫歯が進行して(最近数ヶ月の間で急速に)いたらしく,お医者さんに言わせる
と,今回外れてよかったですね,ということらしい。もし外れなかったら虫歯の進行に気づかず,神経にまで達していたら大掛かりな処置になってしまったで
しょう,ということで,悪いものには早く気づくことが大事だということを教訓として得ました。時々固いものを食べてみて歯を刺激するのもいいのかもしれま
せん。退官間近の年齢になると,いろんなところにがたが来て,いろいろ悪いところが出てきます。これからは,それに早く気づくようにして,うまく手入れを
行なって,悪さが進行しないように気をつけて過ごして,「大波」にさらわれないようにして行きたいと思います。そんな決意をした誕生日のできごとでした。
(2013.1.31)