夏への準備

 今年の5月は、この辺りの前半は少し寒い日があったものの、大体過ごしやすい日 が多かった印象です。ただ、月末になって、急に30度を超す暑い日が増えてきて、28日には北海道でも35度近い温度になったところがあったり、中国の北京で は40度ぐらいになったとかで、しばらく7月のような暑さが続くようです。こうなると、体の方はいよいよ夏だな、という感じになって短い春の名残を味わう余裕 もなく、急かされるように夏の準備に取り掛かります。実は、この5月には今まで(10数年間)誤解していたことがわかったことがありました。それは、毎年5月 中旬頃に、金華山が白~金色の花で覆われるのがうちのマンションから見えるのですが、その花は「ナンジャモンジャ(ヒトツバタゴ)」だろう、と思っていたので すが、それは誤解で、実は「ツブラジイ(小椎)」という椎の木の仲間の花 なのだそうです(岐阜市の「市の木」に指定)。大学の周りのヒトツバタゴが満開になる時期とほぼ同時に金華山で満開になって遠目には同じように見えるので、勝 手に同じ花だろうと思ってしまったようです。

 最近はあまり言わなくなりましたが、昔は「五月病」なる言葉がよく言われていま した。新入生や、新入社員が新しい環境に入って2ヶ月ほど経つと、環境にあまり馴染めないと心も体も調子を崩してしまう人が多くなる、ということでしたが、ど うも最近はそういう新人へのケアがよくされるようになったせいか、五月病を気にする必要もなくなったのかもしれません。またこの辺りの就活中の学生も比較的順 調に内定をもらってくる学生も増えてきているようで、本来の爽やかな五月の薫風を感じている人が増えていることでしょう。この調子で苦しい夏を乗り切ってほし いと思います。(≫自分にも)五月の連休のころに就職した卒業生がやってきて、話を聞かせてくれることがたびたびあるのですが、先日もある卒業生に元気な様子 を聞かせてもらいました。また、もう3年目になってバリバリ企業で活動して、私と共同研究契約を結べるほどになっている卒業生を見ると、嬉しくなるものです。

 この頃は「アナと雪の女王」という言葉を見たり聞く機会がたいそう増えていま す。映画の興行成績が素晴らしく、すごい人気なのだそうです。僕はまだ映画は見ていませんが、4月ごろからYouTubeで、話題になっていた「Let it go」主題歌を歌う松たか子の歌声を聴いて、「なんだ、この琴線にビンビン響く力強い音楽は!」と驚いて、たびたび聞き惚れていました。25 か国語で歌うバージョンも、その映像も大変面白く、それだけでもかなりの満足感を得られる数分間です。僕らが学生のころは「Let it be」(ビートルズ)が流行りましたが、このレリゴーも後世に残る歴史的な曲になるのでしょう。この歌の魅力の一つに、絶妙な日本語の歌詞がある、と言われています。 「Let it go, Let it go」と繰り返して歌うところが、「ありのー、 ままのー」の歌詞が琴線を弾くんですね。「悔やむことなんかない、ありのままの自分を見せればいいんだ!」という主人公の力強い人生観が伝 わってきて、これも響くんですね。この「ありの、ままの」というメッセージは、引け目を感じて弱く生きている多くの人を励まし、勇気づけることになって、今後 も人気が続くことでしょう。

 このアナ雪の人気が出てきたこの4~5月ですが、その間別の話題が科学界だけで なく社会を刺激しました。例のSTAP細胞騒動ですが、5月下旬、ようやく一つの論文が撤回されるようで、終戦を迎えそうです。このSTAP騒動の中で、アナ 雪の「Let it go]の「ありのーままのー」を聴くと、データ捏造などせずに「ありのままの」真 実のデータを出さないと、結局は分かっちゃうんだよ、というメッセージに聞こえてしまいます。(レリゴーに入れ込みすぎ?)


(2014.05.30)