夏の終り

 ようやく長かった暑い夏も、終りに近づいたようです。
 なぜか、今年の9月という月は、暑いことも一つの原因かもしれませんが、特に長かった印象をもっています。
確かに、多治見市などで観測史上最高温度(40.9度)を記録したなどいうこともあって、今までにないような暑さだ、と思ったりしますが、でも記録的にはそんなに酷い暑さというわけでもなさそうです。平均的な気象状況からは、今年はやはりかなりずれていて、異常気象と呼んでも良さそうですが、今までこの百年くらいを見てみればそのような偏差の大きかった年は、今年だけではなく結構あるようで、まだ大きな周期的変化の範囲内にはあるようです。あと20年ほど経てば、その範囲外に出るような異常事態になっているかもしれませんが。

 また、長かったな、と思う理由のもう一つは、例の首相の突然の「辞任発表」(9月12日)もありました。それ以降は、てんやわんやで、新しい首相がようやく決まり、路線の変更も明確になってきたような匂いがします。それにしても、消化器系の病気だった、ということですが、腸は「第2の脳」といわれているくらいですから、いろいろ精神状態にも影響していたのでしょうが、所信表明してこれからやるぞー、って言って直ぐに「辞める」というのは、いかにギリギリの精神状態であったのか、というのをあとから解釈するだけです。病名はついているようですが(機能性胃腸障害)、僕としては(心臓は悪くはなくとも)「シンゾー病」とでも名付けたいくらい。(重要な、国を危うくするような事態をもたらすほどの精神的危機を引き起こす消化器系統の不具合のこと、ただし2週間ほどで退院はできる。)
 これは冗談ですが、このどたばたのせいで、重要な会議が開けず、(予算関係の)決定が遅れた、という話もちらほらききます。病気ならば、変な言い訳をせずに所信表明する前に入院してしまって、医師の診断を付けて、かように病気が進行したので辞任する、としたほうが、どれだけよかったか。

 この暑い夏は、ヨーロッパでもそうであったようですが、アメリカのニューヨークは逆に寒い夏だったとか。
 そのせいかどうか、テノールのパバロッティさんが亡くなりました。
 この大学関係者でも、8月〜9月に亡くなられた方が多かった気がします。2回も喪服のやっかいになりました。やはり、これほどの暑さが続くと、体力の弱っている時には、致命的になるのでしょう。ご冥福をお祈りいたします。



 先週くらいから、マイケル・クライトン氏の最新刊の「NEXT」という本を読み出しました。一昨年の「恐怖の存在」という本の内容と比べると、何か散漫な感じは否めませんが、でも扱っている事象はとっても刺激的。考えながら読んでいるので、かなり遅くなっています。
人間の知能を持ち言葉もしゃべれるサルやオウムも話や、自然の生物を遺伝子工学的に光らせて会社の広告塔にしようという話とか、特殊な細胞を持つ人の細胞自体の所有権が会社に行ってしまう話とか、現実と虚構が一体になって話が進み、ひょっとしたらあり得るかも、と思わせるような筋立てで、考えさせられます。前の本は「環境テロ」の話でしたが、このNEXTは、バイオ企業の意向を先取りするとこんなことも可能になるよ、という警告でしょう。彼の書物の影響は、結構大きいのです。それも、現実に進行していることも、ちゃんとデータとして引用しながら、ストーリーを展開するので、あれっ、ここまでできちゃっているのか、とびっくりすることも。しかし、そのデータ自体は、学術誌ではなく、新聞ネタや一般誌に載ったものが多い。だから、あまりそのままでは信用はしないほうがいいですね。まあ、そのような細かい話はともかく、ストーリーとしては楽しめますし、クライトン氏の危機感みたいなものが良く理解できる話です。

 10月になって、後期の授業が始まりました。またまた慌しい毎日が続きます。
 全学共通の授業も、最初の1限目から始まって、みんな静かに聞いています。先週末に、教養教育のFD研修会で「かんぽの宿」に泊まりましたが、郵政民営化10月1日スタートで、「かんぽ」も一般会社と同じ扱いになるので今後競争に曝されるとどうなるでしょうか?「かんぽの宿」も淘汰されるのでしょうか?良い所でしたけどね。

(2007.10.01)