想定外 軋む秋

 この10月は、歴史に残る月になるのでしょうか、そんな感じの1ヶ月でした。むしろ、10月と11月が歴史に残るのかもしれません。11月はアメリカの大統領選挙もありますからね。8年前のJWブッシュ対Aゴアのきわどい戦いを思い出してしまいます。
  この10月は、バナナダイエットの流行からスーパーからバナナが消える「事件」から始まり、アメリカの金融危機が深まりAIG生命崩壊からアリコジャパン の身売り報道が出てきて、激しくユーロ安円高が深まってきてかなり輸出企業が心配になり、そんな中でも7日と8日には益川・小林・南部のノーベル物理学賞 と下村らの化学賞の発表があり久しぶりに昔の思い出に浸り、そうこうしているうちにとうとう、ユーロが120円を割るようになりドルも90円に近づくよう な勢いになり株安世界的不況が実感されてきて、まさか世界恐慌?なんて思いも出てくるほどになって、さらに食品汚染報道が毎日のように流れる中、あっとい う間に10月も31日に。
 こんな想定外の激しい軋み音がギシギシ鳴っていると、どうも授業にも身が入らない。(言い訳?。。。良いわけない!それでも、やるべき仕事は、毎週のように降りてくるし。。。

  やはり、FinanceとFoodの2つのFの危機が底流にあります。以前は、砒素ミルク事件などがあってもめったに起こらないことだったのが、最近では なんということか、メラミンが入るは、トルエンは入るは、シアン入りの水が大手のハム屋さんで使われていたとか、カビ毒が入るは、農薬が入るは、・・・も う何でもありの食品汚染が日常茶飯事のようになってきました。ちょっと、出過ぎです。
  他には、やはり医療危機。あの東京の墨東病院 ERでも妊婦さんを救えなかった、という悲惨さ。H18年11月以降、産科の医師の欠員補充ができていない有様で、産婦人科、小児科の危機は、すでにスパイラルに入ったらしい。他人事じゃあないですよ、これは。都会に住 んでいる娘の出産は、田舎で、となるかもしれないです。ここ岐阜市内は、結構産婦人科が目に付きますから、まだましなのかも。

 そんな鬱陶しい中でも、ノーベル物理学賞の話題は、一服の清涼剤のようでした。ほんと、今頃、やっとだね、というのが素直な気持ち。
 1972 年から、京大物理の助手だった益川さん・小林さんがその理論の研究を始めた、と報道にありました。実は、僕もそこの物理の4年生のときで、その物理教室に卒業研 究(福留秀雄研究室でしたが)でいました。ときどき益川さんにも物理の談話室などで、なぜかお会いしていた記憶があります。実は益川さんは70年から物理の助手をされていたので、もっと低学年からお名前は知っていたはずです。佐藤文隆さんもそうだけど、昔は助手、助教授といった人た ちから、気さくに、別にそこの卒研生でなくても、1年生ぐらいからでも一緒に話ができる雰囲気がありました。そういう縦の関係が今は薄れているかもしれま せん。学問の継承には、どうしても縦の関係が重要になるのに。でもあのころは、町田茂さんの素粒子論も良く聞かされていましたし、クォークって机上の空 論?、みたいな印象も多々、ありました。そういう中でも、益川さんたちは直感と数学的理論で新しい理論を作り上げていったわけですから、やはり凄いと思い ます。今度のストックホルムでの授賞式が、また面白そうです。どんな話が飛び出るか。
 最後に想定外のことが、もう一つ。明日、11月1日のサッカーナビスコ杯決勝。大分トリニータと清水エスパルスの試合、もしトリが勝ったりでもしたら、泣くかもしれない。。。

(2008.10.31)