2月も下旬になり、この1ヶ月の慌しい時期もあと2週間ほどで入試や卒研審査会などが終わり、また新しい学 期と学生達を受け入れる春への準備期間に入ります。3月末には新棟への引越しがあるので、それの準備もあります。新居に移るのは今からワクワクです、はじ めだけは…。
この間、大雪があったり、関心を持たざるを得な かったものとしてイラクの国民議会選挙や日本人で初めてのvCJD患者の発生の 確認や、サッカー北朝鮮戦、それと京都議定書の発効などがありまし た。そういうのに関心がいく、というのは、自分の専門の仕事や生活に直接的な関係はなくとも、社会という人間のネットワークの中の一つのノードとして、自分の深いところで関係があると無意識に感じているからではない かな、と思っています。もちろん、人によっては関心の持ち方や対象はかなり異なるでしょう。そのような多様性は、人間のネットワークなのだから、在って当 然。関心が生まれると いうのは、一つのノードから別のリンクができて くる過程と考えても良いのではないか。脳でシナプス結合が生まれようとしているみたいに。
だから、自分のこれまでの枠(専門の仕事や身近 な生活だけ)に閉じこもっては、新しいリンク、多様なネットワークは生まれない。多様なネットワークがないと、全体が同じ方向に一斉に動きやすくなる。ア クセルとブレーキのリンクがバランスよく働かなくなる。脳でいったらEpilepsyと 同じ。そんな気がする。全体が一斉にナントカバッシングに向かったり(最近はホリエモンバッシング?)、曖昧な不安感だけで戦争に向かったり支持した り、、、地道で冷静な動きができなくなる。寄らば大樹の陰で蠢いているだけ。
だから、若い人たちには、多様な関心を持ってほしい、と願っています。
vCJDの日本人での発症というニュースは、 1990年 前後にイギリスに住んだ経験のある人にはかなりの衝撃だったらしいですね。外務省にたくさん問い合わせがあったらしい。実は私も90年に半年だけフランス にいたので、お隣でもあるし、パリのスーパーマルシェで見かけた食用の脳味噌を思い出して、いやな気分になりました。食べたことはないですけどね。その発 症した日本人は、ごく短期間のイギリス滞在だったらしく、そんな短期間に感染するというのは、よっぽど感受性が高い人だったのか、それとも確率的にはとっ ても低わけだから、それでも感染したのは感染部位を異常なぐらい食べてしまっていたからか、など実際の発症過程が解明されていないので色んな心配をしてし まいます。
また不気味なのは、アメリカで発症例があまり出
てこないこと。また、アルツハイマー病と診断されたものの中にかなりvCJDが入っているのでは、という疑いで
す。アメリカとしては、牛肉の輸出にもろに影響するので、vCJDがたくさんあったなどとは、「国益に反するから」言えないはず。科学的医学的な
データが、もろに政治的な意見に繋がる。京都議定書の発効を巡るアメリカの態度も同じ。まったくイビツです。
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イビツといえば、最近の大学法人化した国立大学 での産学連携の共同研究のあり方も、契約書の結び方をめぐるトラブル(企業が共同研 究契約を取りやめているところが増えてきているらしい)に象徴されるように、大学のほう が考え方が少しイビツになっているような感じ。イビツだと、柔軟性がなくなり、依怙地になってくる感じ。この辺のことは、またいつかコメントしたい。
(2005.02.20)