引越しシーズンに思うこと


 三寒四温の時期が、
3月という引越しのシーズンと重なります。スギ花粉も大量に舞っているようで、晴れた暖かい日には、マスク姿の人たちを多く見かけます。現在、私達の研究室も、新棟への引越しの最中です。私にとっては、ちょうど5年ぶりの引越しとなります。卒研生や大学院生のおかげで、ぼちぼちと着実に移動が進んできていますが、31日か41日までには自分の部屋の移動も含め、完了させたいと思うものの、居室の移動は別の旧棟の別の研究室がいつ新棟に引っ越して部屋を空けてくれるかにかかっているので、完全に移動するのは4月に入ってからになるかもしれませんな。

 もう5年も住んでいると、「いつか使えそうなもの」はもったいなくて直ぐには捨てられない派に属している自分としては、必然的に荷物が増えてしまうもの。引越しは、そういうものを強制的に(自分に対して)潔く捨てさせるための契機となる可能性が出てくるときでもあります。別の見方では、「おもひでを捨てる」とでも申しましょうか…。

 だから、引越しというのは、物理的に位置を移動するということのほかに、心理的引越しとでも言ったらいいのか、「心のエネルギー準位を移動する」、とでも言ったらいいのか、よく言い表せないが、心の状態がぽんと変わる効果があるように思いますね。ある定常状態から、別の定常状態に変移するとき、ある状態の終わりの瞬間が「卒業」、それから「引越し」があって別の定常状態に移って「新たな生活の開始」となる、という意味では引越しは一種の相転移、…なんてね。

変な理屈を考えて、簡単なことを難しそうに表現して面白がっているテツガク者みたいになりましたが、新しい空間に引っ越すと、また新しい出会いがあるでしょう。新たなネットワークのリンクができる瞬間です。学生さんにとっても、就職によって新しい職場に引っ越すのもそうですし、4年生になって配属が決まるのも心理的引越しの一種ですし、積極的に「引っ越す」ことで、新しいネットワークに自分を投げ入れてみる、というのも、今まで見えなかった自分が見えてくる可能性があって、面白い世界が開ける可能性が高まる、と考えることができます。だからそういう機会を積極的に利用できたらいいね。




 普通見慣れている空間を離れて、別の環境に触れるために旅行するとか、ハイキングに行くとか、するのは、一種の心のプチ引越しと言ってもいいかも。連休は、そういうのをするのにふさわしい。それで、振替休日に、素晴らしく晴れて暖かく良い日だったので、近くの山に行って来ました。岐阜市の中にある山で一番高い山は、金華山ではなく、
百々ヶ峰(どどがみね)という山ですが、そこに至る途中に、松尾池という大変落ち着いた雰囲気のところがあります。よく通る長良川沿いの道をちょっと山の方に入ると5分ほどで着いてしまうくらい、近いところなのですが、まるで別世界。滝あり、渓谷あり(といってもプチ滝、プチ渓谷ですが・・・)、沢歩きあり、の面白いところでした。この日は、あまり人がいませんでしたが、池にはオシドリやカモも来ていて、写真家達がカメラを構えていました。杉やヒノキの多いところなので、花粉が多いからでしょう、来ている人が少ないのは。また、不思議だったのは、この時期には山に入るとよくウグイスの鳴き声を聴くのですが、全然無かったこと。まだ寒すぎるのかな?

 

(2005.03.21)