春は急ぎ足で

 もう3月も末ですが、気温が20度台が続いたりして「暑い」と感じる日が増えて います。3月中旬の後期日程入試の頃はまだ寒い日も多かったので、あぁもう 春か、と思ったら2週間ぐらいで、あぁもう夏も近いのか、という感じです。ジェッ トコースター気候!

春は急ぎ足でやって来て、駆け足で去って行く、といった風情。これは今年だけでな く、ここ数年の傾向のようです。3月30日は日曜日ですが、大雨の日でし た。咲き急いだ感のある近所の桜も、かなり開きましたが暖かい雨に打たれています。大雨にも関わらず、増税前の駆け込み消費で電気関係ショップは大賑わいです。

 昨年は3月下旬に新卒研生のために白鳥に工場見学にいきましたが、今年はそんな 余裕もなく、また向こうの工場長さんも既に退職されているので、やりません でした。こちらもちょうどあと2年で退職ですので、新卒研生は私のところの大学院への進学はできません。そんな過渡期の年があと2年続きます。そんな中、学生 にはこちらの伝えたいことがちゃんと伝わっているのか、と反省したりしています。卒業した院生、学生を送り出し、新しい学生を迎えるときに、いつもそんな感慨 を抱いてこの3月後半の時期を過ごします。

 ちゃんと発表(論文、卒論・修論発表)の作法を身につけてもらえたか?ちゃんと 文章は書けるようになったか?

 そんな気持ちが今年は特に強く出てきます。それは、2月から社会を騒がせている STAP細胞騒動のせいです。様々な研究不正が明らかになって きている Natureの「STAP細胞」論文ですが、近ごろはSTAP細胞の真偽の議論というより、それ以前の論文の不正(図や文章の剽窃、長大なコピペなど)に フォーカスが当たっています。特に驚くべきことに、当事者の大学院での博士論文に見られた様々な剽窃が話題に上っているようです。様々な博士論文に見られた不 正な引用の仕方、が今後その大学院での調査委員会の調査対象にのぼっています。引用の仕方、というのは科学論文に限らず、一般の文章(文系理系を問わず)の書 き方 の作法としてすべての関係者は身につけておくべき事柄です。

『引 用』(著作権法第32条1項)公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、か つ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

 という規定があり、引用の作法としてそのわかりやすい解説では (Wikipedia)、

ア 既に公表されている著作物であること
イ 「公正な慣行」に合致すること
ウ 報道,批評,研究などの引用の目的上「正当な範囲内」であること
エ 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
オ カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
カ 引用を行う「必然性」があること
キ 「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)
― 文化庁 (2010, §8. 著作物等の「例外的な無断利用」ができる場合 G ア、「引用」(第32条第1項))

 さらに、科学論文においては(一般の研究発表の場合でも)、関連する先行研究の引用は 必須であり、しかるべき形式で引用する必要がある、というのはたびたび学生には指導することです。
 ただ、出来上がった論文(卒業論文、修士論文、原著論文)を見ていると、たまに無神経に、引用すべきところに引用文献が明示されていない、というのも見かけま す。あまり論文の内容を長文にわたってそのまま引用の形式なしで使っている、というのはこのまわりでは見かけることはありませんが、実験事実や研究内容の考え方の 引用の仕方には 問題がある文章はよく見かけます。このあたりは慣行の問題ですから、指導の仕方の問題なのでしょう。今年の指導課題・・・。日常的に指導しなければならないことな のだと思います。

 もうすぐ4月。この3月で特記すべきことは、スポーツ領域では「錦織がフェデラーに勝ったこと」、「羽生が3冠とったこと」、「浅田が世界選手権で金」、が印象 深かったことですね。素晴らしい!そして世代交代していく・・・。
新しい活動、授業が始まりますので、そろそろ頭を切り替えねば・・・。そうか、消費税も上がるので予算の使い方も気をつけねば・・・。

(2014.03.31)