深まりゆく秋それぞれに
11月も下旬になると、朝晩の冷え込みもだんだん厳しくなってきて、秋の深まりを感じるようになりました。
この間、印象深かったこととして、本田美奈子の急性白血病による死、インフルエンザ薬タミフルがらみの不審死報道、マンションなど建物の耐震偽造事件、な
どでした。気が滅入ります。サッカーJ1は優勝が混沌としてきて面白くなっていることは、秋のもの憂げさを一時忘れさせてくれます。高橋尚子の東京国際マ
ラソンでの復活優勝、も感動的で、鬱憤を晴らしてくれたようです。
中でも耐震偽造事件は、この業界への不信感を一挙に増大させました。マンション住まいの私達にとっても、他人事ではありません。氷山の一角ではないか、
という疑念を生んでいます。民間に任せているチェック体制への不信感も起こっています。タミフルに絡む問題は、鳥インフルエンザへのこの国の対策の根本に
も関係するので、慎重かつオープンに議論していってほしいと思います。本田美奈子は日本のサラ・ブライトマンという評価を私は持っていたので、その急逝は
残念でなりません。
高橋尚子の優勝は、大変感動的であったのですが、彼女が明かした病状をなぜマスコミは「肉離れ」と言っているのか、不思議です。ちゃんと「筋膜炎」と最
初は報道されていたのですから、しっかり治療し対策をとることで「肉離れ」には至らないようになったんだと思いますよ。ちょっとした足ふくらはぎの炎症、
とでも言っておけばいいので、「肉離れにもかかわらず感動の優勝」という言い方は、本当の肉離れの病状を知っている人には大変違和感を植え付けるもので
しょうし、肉離れがあったらあんなスパートはできないはずだし、あんなテーピングだけで走れるはずもない。
また、サッカー選手などでも肉離れによる戦線離脱の話はよく聞きます。サッカーも、肉体的にも精神的にも激しいスポーツです。それで最近の注目は、あの
最下位争いをしていたトリニータが、監督が代わって以来、まったく突然、別のチームになったかのように連勝できるようになったことです。メンバーはあまり
変わっていないのだから、選手のサッカーに対する考え方と選手の使い方、戦略と戦術が大きく改善された結果だ、と思わざるを得ない。同じ遺伝子同じ細胞で
あっても、環境によって活性化されるか、細胞死になるか大いに変わりうるので、(選手にとって)環境としての監督やフロントの戦略とこまめな戦術と選手に
対する「活性化機構」が如何に大事か、わかります。
◇
さて、月末の土曜日、紅葉の見ごろな京都で、ミニ同級会(大学の)があったので行ってきました。名所はさすがにすごい人出でした。30数年ぶりに会った
友人も、顔つきはあまり変わっていなくても、体や雰囲気の変化は30数年の隔たりを感じます。紅葉見物も、大変。かつて下宿していた近くの真如堂などは以
前は名所でも何でもなかったところですが、今では人の波。どうもタクシーの運転手さんたちの口コミで観光客が増えたらしい。友人の一人は、難病にかかり
数ヶ月前から車椅子生活になってしまっていました。京都の名所も、車椅子の人たちにも対応できるところが増えてきた、といっても、まだまだ砂利道や階段が
多く、大変であることがよくわかりました。歳を重ねた友人達も、深まりゆく秋に、それぞれ何事かを感じていたようでありました。
仁和寺の境内で。
上賀茂神社の中で。
(2005.11.28)