学生の英語力

 工学部の学生の英語力っていうのは、どれくらいなのだろうか?全国的な調査がないので、うちの大学の学生のレベルもわからない。ただ、これから大学院に入るものは、いやおうでも英語の論文を読み、英語で文章を書かなければならないのだから、それなりに(高校生のレベルよりは)高くあってほしいと思う。このへんは、ちゃんと調査活動をしなければ、とは思う。
 しかし、現実には、mathematics を数学 と訳せない学生も何割かいるし(それも大学院を目指している学生に)、biologyを有機科学と訳してしまう(生命工学科の)学生もいるし、life science を有機化学 と訳すのもいる。
 大学の入学試験で英語が課されていない(もちろん大学センター試験にはあるが英訳、和訳を書かせるのはない)ので、もうすっかり忘れてしまっているのだろうか?だとすれば、入学試験で英語を課さないのであれば、入学後、1年生から4年生まで各学年でしっかり学ばせる(試験も単に一回の試験だけで落とすのではなく、再々試験ぐらいまで粘って勉強させるぐらいの覚悟で)時間をとるのが必要ではないだろうか?
 すくなくとも、大学院を目指す学生には、研究していくには英語を読む能力、書く能力はある程度までは達していないと、苦労するのは本人なのだから、しっかりと英語を勉強させる時間を与える必要があるのでは。修士過程は2年しかないのだから、院に入ってからでは、実験をすすめるのにだけ時間がとられ、実質英語をしっかりやる時間はほとんど無いと思わないといけないだろう。必要な論文を読むだけで精一杯で、英語の勉強のために何度も読むなどという時間はとれないはずだ。
 今までも、医学部の大学院生を何人も受け持って思うのだが、入学試験で英語をやり、学部にはいってもしっかり英語の時間を取っている彼等にしても、大学院で英語を読む、書く、事に関してはやはりたいそう苦労しているのを見ている。入学試験で英語が無い、大学にはいってもそれほどしっかりとやっているとは見えない(生命工学科では4年生の実践英語の時間もできたようだが時間数もさほど多くない)工学部の(特に生命・生物系の)学生が大学院に入ってやる英語に関する苦労は、推して知るべしである。生命系の大学院生は、この状態で、医学系や薬学系、理学系、農学系の研究者と競争して論文を出さねばならないのだから。

 子供の学力低下の話をこの前に書いたが、大学生の学力低下は試験制度、教育体制の問題なのだろうし、教官がはらをくくって対応しなければ、今後の科学研究の発展にも貢献できないだろう。最近も、色んなメーカー・業界の技術者と話をしても「私は英語が苦手だから」と英語のマニュアルをあまりしっかりと読めない(読まない)人が多いように見えるのは(ずっと前からのような気はするが…)、まさに彼等を送りだした大学の責任ではないか。

 どうも、採点した後は、血が頭に上って、「やらねば!」と思うのだが、なるべく忘れないようにしたい。少なくとも、来年度からは学生に色んな英語を読ませ書かせる時間をとってやろうと「決意」した次第である。(ぐにゃるのが心配;;)
(2000.9.2)