新年度の読書
3月の異常な暖かさと寒さの繰り返しがあって、4月新学期が始まると、最初暑い日もありましたが、最近はまあほどよい、春らしい気候が続いてきたと思ったら、北米の方からインフルエンザ・パンデミックの高波が襲ってきました。お隣では、また物騒なことを言い出している国もありますし。
また、恐ろしいというほどではないようですが、なぜかメキシコだけに死者が多く、その発生原因とか、いろいろわからないことが多いこのFluです。当初、
「豚インフルエンザ(Swine
Flu)」と呼ばれていましたが、豚の周りではあまりFluは出ていないし、風評被害で豚肉が被害にあうのは困るだろうということで、「インフルエンザ
A」などと呼ばれることになるらしいですね。WHOの発表ですが、なぜ「北米インフルエンザ」などと国の名前を冠したFluで呼ばないのでしょう。かつて
は、スペイン風邪とか、香港風邪、とか国の名前を使うことが多かったのに、今回は国の名前は使わないようですね。
このFluも、まもなく下火に
なるとは思いますが、もしかすると、今の不況に追い打ちをかけるかもしれませんし、外出を控えて、消費がまた落ち込む原因になるかもしれません。こういう
外的要因が突然、現在の経済社会活動に大きな影響を及ぼすようになる場合もあるでしょう。1000円高速道路になっても、また渋滞に巻き込まれるのはいや
だし、人混みに出るのも嫌だし、結構室内で家族で過ごすという人が増えるのかもしれません。
ただ、一方で不況対策とかで、「科学バブル」のような巨額のお金がまたどこかに集中投下されるような話も聞こえてきますので、じっとしていられないような人々もいることでしょう。2700億円で1テーマ、5年間で平均総額90億円の科学研究を30件支援するとか。何とかCOE、とかたくさんできて、その上にこれですか。
こういうときは、ジタバタせずに読書三昧があってます。
この4月には、いろいろ記憶に残る本との出会いがありました。
「脳内出血」(霧村悠康著)と「奇跡の脳」(ジルBテイラー著)と、つい数日前に読み終えた、「パラドックス13」(東野圭吾著)です。
特にジル・テイラーさんの「奇跡の脳」については、NHKテレビでもジルさんを登場させてドキュメンタリーを放送していました。脳の素晴らしさを身をもって証明している脳科学者の本です。脳の可塑性を
最大限に発揮できるようなリハビリの手法の開発は今でも課題になっていると思いますが、脳卒中から如何にして回復したか、左脳の障害が起こっているときの、一
種の至福感の実体験も語られていました。これは、なった本人じゃないと分からないものであろうと思います。この本は、そのような実体験を通じて、脳の不思議さをいっそう
引き立たせてくれた、素晴らしいドキュメントです。
また、東野圭吾のこのP13の本は、彼の新しいSFの境地といってもよい、引き込まれる内容でした。この「理系作家」の今後の進化に、ますます期待したいと思います。
今年は、いわゆる「ダーウィン年」にあたり、ダーウィンに関する本や論文がたくさん出ています。ここは、初心に帰って、もう一度ダーウィンを見直してみてもいいかもしれません。
(2009.04.30)