「絆」「金」の後の年は何?

 世相を1字で表す「今年の漢字」の行事が中旬にあって,2012年は「金」となりました(2000年と同じ)。前年の2011年は「絆」でした。因みに2000年の「金」のあとの2001年は「戦」でした(の後はに なる)。12年はオリンピックでの活躍が印象深かったので(2000年のシドニー五輪と同様)「金」だったのだろう,と思いますが,ゴールドメダルの金だ けではなく,消費税の話やお金にまつわる話題も多かった年でした。11年の大震災の後で人々の絆の大切さが話題になり,その気持が底流にあってオリンピッ クでもチーム競技が良い成績をとって,絆の気持ちが選手を頑張らせたのだろう,という評価にもつながりました。
 そして,そのような一種の高揚感の中で先日,総選挙がおこなわれました。
  予想されたようにまた政権が民主党から自民党へ交代しましたが,なんというか,レストランで気の抜けた定番の炭酸ソーダを出された感じで,飲みたくないけ どまあ昔馴染んでいたので取り敢えず,になってしまったなぁ,というような感じ。旨いビールを期待したが味が不味くなってしまって止めたいけど,これが欲 しいという欲求はたくさんあれど,他にどれもこれぞという期待に応えるメニューがなくて,仕方なく炭酸ソーダに。炭酸ソーダ飲み過ぎると糖尿病になったり 脳梗塞になったりすると言われていても,つい頼ってしまう,という感じでもあります。日本未来の党は突然メニューに追加されて新鮮で美味しそうな感じもし ましたが,結果小沢生活の党に乗っ取られてしまいました。これも随分昔にもあったような話で,予感もありました。これで思い出したのは,細胞の進化のこと です。

 何のことかというと,大昔,地球上の細胞は単細胞ばかりでしたが,その後ミトコンドリアを備えた多細胞生物が生まれて現代につな がる生物の進化が起こってきた,ということが政治における政党の「進化」を連想させるものではないか,ということです。つまり,これまで20世紀までは単 細胞としての政党が主体となって国家という生物を担っていたわけですが,今後21世紀以降の新しい政治に必要なのは多細胞のシステムではないか,というこ とです。細胞の進化の中では,細胞は激しく危ない側面を持った別の細胞と共生することで,ミトコンドリアとして統合された細胞システムを作り上げ,より力 強い細胞となって多細胞システムに対応できるようになりました。未来の党の嘉田さんが「小沢さんという劇薬をうまく使いこなせないといけない」というよう なことを話したときに,まさにうまく行けば小沢さんたちをミトコンドリアとして引き入れて「強い細胞」をつくることができるかもしれない,という期待をし たわけです。生物の進化をよくご存知の嘉田さんならではだなぁ,と思ったものでした。しかしまあ,そんなに簡単にできるわけがないですが。細胞の進化だっ てそうやすやすと共生できたわけではないでしょう。共生しようとしてアポってしまった細胞も多かったに違いありません。なんどでも繰り返しトライして,環 境とタイミングがうまくあえば,嘉田さん達の未来の党は,本当の21世紀の「未来の党」の一翼になりうるかもしれません。そうしないと未来の「多細胞」国 には遷っていけないと思います。まさにさきがけ(魁)。昔,そんな名前の党もあったっけ。

 ということで2012年の慌ただしい師走のときに予想(期待)する来年2013年(平成25年)の漢字は, です(伊勢神宮の式年遷宮があるし,新しい国へ少しずつでも遷っていって欲しいと思うので)。


(2012.12.28)