もうすぐ2年目の311
2月になると,意識の上では あぁ311のひと月前か という感じになります。でも大学行事はいつものように修論発表だ,卒論発表だ,と次々とやってくる
会議の嵐を耐えるのが,この2月。予定していた学生の発表は,かなり準備して臨んだせいか,なかなかのものになっていたと思います。もちろん,質問には
ちゃんと応えられなかったりしたものは一部にはありましたが,いろいろ自分でよく考えてくれていたと思います。よしとしましょう。だんだん年をとると評価
が甘くなる自分に気がついています。学生の発表が全て終わると,次は入試の時間。いろいろ従事しなければならない仕事が多くあって,頭も体も疲れる時期で
した。前期入試が2月下旬にありました。今回は後期入試に少しシフトした体制になっていますが,全体的には昨年度よりは競争率は下がっています。この低下
はシフトの影響と言うよりは,全国的は工学部の競争率が落ちている傾向のなかにあるらしい,という評価を聞きました。ほんとかな?
それはともか
く,前期入試業務の終わったあたりから,体調が思わしくなく,2月末の28日に留学生にGCMSの実験指導をして,かなり暑かった実験室の影響もあった気
がしますが,終わったあと急に体温が上がったような感覚になりました。そして少し悪寒も。そして若干の咳も出始めました。その日の夜はかなり咳が出て寝苦
しい状況になりました。朝起きると,もう声が掠れて,しゃべれません。その日の午後には3年生に向けて教室紹介をしないといけないのに,と困ってしまいま
したが,午後には若干改善して声が裏返りはしましたが文章としては一応聞ける声になっていて,さっさと紹介を終えて部屋に戻ると,結構消耗していることに
気が付き,そそくさと帰宅しました。それからは,あまり食欲も出ずに,ひたすら酷い咳との戦いが数日続きました。医者にも見てもらってインフルではないと
いうことがわかって,処置して頂いた薬を飲んで,ようやく落ち着いた状態になったら,もう3月5日でした。意識の上では,やってないことがいっぱい残って
る!という感覚なのですが,不思議と病気の時は焦りがおこってきませんな。いいことなのか,悪いことなのか?しゃーないか!
ということで,このメモは2月を跨いで,311の前を一区切りとしたいと思います。
2年目の311が近づいてきています。テレビなどでもまた特集が組まれるでしょう。明瞭に思うのは,福島以外の被災地は,それなりに少しずつ復興しつつあ
ることは感じますが,福島は全然復興しつつある状況にもないということです。その背景はもちろん,原発事故による県土の被曝でありますが,環境と人々の被
曝モニタリングは丹念に続けられているものの,除染は一向に進んでいないらしい。もう自然減少を待つほうがいいのか,というような議論もあるようです。我
が国の今の政治経済状況もFukushimaのことばかりきにかけていられない,というような雰囲気で,アベノミクスでいけいけどんどん,とインフレ2%
が目的化されているように思います。物価上昇は被災地の人々の生活物価も確実に上げますが,生活資金も上がるようには全然見えません。ますます格差が広が
りそうで,Fukushimaはさらに多くの人々の意識から遠ざかっていくように思います。
今NHKの大河ドラマで「八重の桜」が放送されてい
ますが,幕末の会津戦争とその戦後処理によって人々の意識から会津が消えていった,そのようなことを今の福島にも当てはめてみたくなります。人々の意識か
ら「Fukushima」を消そうというような動きもいろいろあって,原子力規制委員会の実質骨抜き化のようなうごきとか,確実に311の前の体制に戻そ
うとする流れを感じざるを得ません。そして一向に新しい自然エネルギー開発の動きへの大きな投資の話や電気事業界の再編成(発送電分離など)の話などもほ
とんど聞こえて来ません。
忍耐,忍耐。大学も教育も,ながいながい忍耐。東北人は忍耐には慣れています。
(2013.3.6)