【松本早生富有】
1.来歴
京都府綾部市の松本豊氏の富有で発見された富有の早生系枝変わり品種で、1952年に農産種苗法に基づく名称登録(登録番号43号)がなされた。
2.樹勢
樹勢は富有より弱いが、それ以外の特性は富有とほぼ同様である。樹姿は開張節間、新梢長ともに長く下垂しやすいので、側枝の更新につとめる必要がある。陰芽からの新梢の発生は容易である。萌芽・展葉期は遅いほうである。炭そ病に弱い。
3.果実
完全甘ガキで、果実の大きさは平均260g程度である。富有より玉揃い悪い。食味は富有と同様で、甘味は中程度、通常糖度は15〜16%程度となる。果汁は多く、肉質も本来軟らかいほうであり、食味が優れている。肉質は完全甘ガキの中では粗いほうであるが、粉質化しない。自然脱渋のしやすさは富有と同等であり、地域適応性は広い。晩秋の温度低下が早く富有が十分に成熟できない地方でもこの品種は成熟するが、脱渋は夏秋期の温度によって影響を受け、夏秋期の温度が高くなければ脱渋不完全となる。
4.収穫期
富有より2週間程度早い、11月上旬が収穫期となる。
【西村早生】
●西村早生
1953年に滋賀県大津市の西村弥蔵さんの園地で発見された偶発実生で、西村の名をとって名付けられました。
9月下旬〜10月上旬にかけて熟する早生品種で、淡い橙色の外観通り、味もやや淡白です。甘柿といっても、正確には不完全甘柿なので、渋が抜けていると果実にゴマが入っていますが、ゴマがない部分をかじってみると渋いことがあります。もっとも産地には甘渋判定機があって、渋い柿はチェックされるので、一般に出回る柿で「渋さ」を味わうという経験はめったにできないでしょう。
柿産地の揖斐郡大野町で、ハウス栽培のわせ柿の収穫が始まった。鮮やかに色づいた柿は露地物よりも3週間ほど早く、秋の味覚が家庭に届けられる。 栽培しているのは、同町下方の農業若原成行さん(41)。県内で柿をハウス栽培しているのは若原さん方だけだという。 32アールのハウスに「西村」を中心に、甘みが強い「新秋」と合わせて約230本が植えてある。3月中旬から5月中旬までボイラーで加温して、ハウス内を15度以上に維持。春先の低温被害を受けないため、甘い実が付く。 収穫した柿は、岐阜市や東京の市場に出荷され、1キロ当たり平均800円ほどの値が付く。若原さんは「やや小振りだが、色も味も例年並みです」と、妻弘子さん(37)と丁寧にもぎ取っていた。収穫は露地物が出回る9月中旬まで続く。
柿どころの揖斐郡大野町で6日から、わせ種「西村」の収穫が始まった。生産農家は「今夏は適度の雨に恵まれたため、甘みたっぷりのいい柿が収穫できそうだ」と声を弾ませている。 同町では約650戸が300ヘクタールで西村、富有などの柿を栽培。西村は約300戸が70ヘクタールで栽培し、日本一の生産量を誇っている。5日には生産農家が色、大きさなど出荷基準を統一する目ぞろえを実施。8日から関東、東北、北陸など各地方へ出荷を開始する。 町かき振興会副会長を務める若原悟さん(51)=同町下方=の柿畑では、若原さんと妻保子さん(46)、研修生の高橋良介さん(19)の3人が作業。 若原さんは「大きさは昨年よりは小ぶりだが、甘くておいしい」と話し、はさみを手に鮮やかに色づいた果実を丁寧に摘み取っていた。西村の収穫は来月上旬まで続く。
1 生産拡大
(1)管理受託組織等生産組織の強化
2 栽培管理
(1)摘らいの徹底による高品質大果安定生産の推進
(2)間伐、縮伐の徹底
(3)堆肥等による土づくりの徹底
(4)植物調整剤、反射フィルム等を利用した果色向上
(5)予察情報に基づいた合理的防除の推進
◎検討事項
棚栽培の導入・ コンテナ栽培の普及・果実の粉末化の推進
○出荷改善
1 西村早生の甘果率の向上と早期販売
2 富有の前進販売と安定・平準出荷
3 出荷情報の的確化とリアルタイム伝達
(日々出荷量の見通し・肥大状況の見通し)
4 選果、選別の徹底
(1)高度品質評価型選果機等の整備
(2)特選品出荷体制
(3)産地、農協及び選果場間格差の是正
(4)安定顧客のため出荷初期から厳選出荷
5 消費宣伝の効率化
6 共販率の向上(岐阜市場)
7 贈答用、市場向けのバランスのとれた多様な流通販売体制の確立
◎検討事項
貯蔵による出荷時期の延長
抑制栽培技術の推進
富有袋掛けによる出荷ピーク軽減