T&L Nursery, Inc.
13245 Woodinville Redmond Rd NE
Redmond, WA 98052
アメリカ合衆国、ワシントン州、シアトル近郊
国際植物増殖者会議(International Plant Propagators' Society, The western Region)の会員のAndrej Susuke氏の宿根草生産会社 T&L Nursery, Inc.を訪問しました。
T&L Nurseryのあるシアトル周辺は、夏の気温が20〜25℃と涼しく、7〜8月は雨がほとんど降りません。したがって、潅水をしていない圃場以外の場所の雑草は枯れ草状態でした。秋と春は雨が多く、冬の気温は0〜-40℃まで下がるとのことです。
Andrej Susuke氏は東欧からの移民で、若い経営者ですが植物(特に宿根草)に関する情熱が伝わる新進気鋭の園芸専門家で、ガーデンセンターや緑化用のCalluna、Erica、Lonicera、Ajuga、Hebe、Lavandula、Carexなどの宿根草を生産しています。
なかでも、CallunaとEricaのコレクションは目を見張るものがあり、特にCallunaは100種類以上のコレクションがあると言っていました。実際に親木管理圃場を視察しましたが、下の写真のようにすばらしい種類のCallunaが保存されていました。繁殖はすべて挿し木繁殖で行われています。
会社の入口にはCallunaを主体に飾り付けたガーデンが展示用に作られており、Callunaの特徴である豊富な色彩が有効に活かされていました。
生産された植物の出荷は台車流通を基本としており、台車ごとトラックに詰み込まれて出荷されていきます。訪問したときには、CALIFOLNIA州のLandscaper(緑化会社)への出荷準備が行われていました。アメリカは輸送距離が長いため、台車から植物が飛び出ないように台車側面をラップで包んでありました。
出荷調整場には数多くの種類のラベルが分類された棚があり、T&L Nurseryで生産されている植物の種類の多さを実感しました。T&L Nurseryで働いている労働者はメキシコ人やスペイン系移民が多いため、スペイン語で書かれた出荷する鉢へのラベルの付け方指導のためのパネルが壁に貼り付けられていました。下中の写真は「ラベルはキチンと揃えて付けるように」という指示で、「ラベルが不揃いはダメ」、「ラベルの写真の下に植物の名前が書いてあるので、深く挿し込まないように」という注意です。下右の写真は、「ポットサイズに合ったラベルを選択するように」という注意です。
生産体系は「生産の効率化と過剰設備投資の回避」を考えたもので、日本ではパレットの移動にはフォークリフトを使用していますが、トラクターのアタッチメントを活用したフォークリフトが使用されていました。また、日本の苗生産ではベンチ栽培が基本ですが、ベンチを使うとハウスの軒高が高くなるため、地面にパネルを敷き詰めて、その上にエキスパンドメタル(網)を敷いてトレーごと鉢を並べて栽培していました。
栽培ハウスからのトレーの移動には「ハンギング移動モノレール」が使われており、日本でも活用できる施設だと感じました。
ハウスでの栽培は、挿し木などの増殖直後の管理と出荷前の最終段階の生育調整に限られており、通常の栽培は広い圃場で行われています。見渡す限りの広大な生産圃場での潅水は自走式の大型潅水装置で行われており、圃場の端から端まで潅水をしながら移動していきます。
CallunaやEricaの他に、スゲなどのイネ科の植物もかなりの種類が生産されていました。
最後に、社長のAndrej Susuke氏が私に、「もし日本から学生がインターンシップで働きたいと言ってきたら、私の所の農場を紹介してください。いつでも受け入れることが出来ます。」と言いました。
このホームページを見た日本の大学生や高校生で、「シアトルで農業体験をしてみたい」という学生がいましたら、私の所にメールを送って下さい。Andrej Susuke氏のT&L Nurseryを紹介します。