Aquila development Co. Ltd.
P. O. Box 357 Naivasha, Kenya
2007年7月25日にAquila development Co. Ltd.を訪問しました。
2002年に設立されたインド資本のバラ専門の切花生産会社です。アバーディア国立公園ホテルグループが経営しており,案内してくれたGeneral ManagerのUday Bhat氏はケニア生まれのインド人でした。
Aquila社はNaivasha 湖の西岸にあります。標高が1,900mのため,冬季には最低気温が5℃になる時期が1ヶ月程度あるが,暖房はしていません。土壌は熱帯土壌の赤茶色のラテライトでバンガロールと類似した土壌であり,土質が良いためにHydroponicsシステムではなく土耕で生産しています。
仕立て方は「ハイラック仕立て」でした。
総敷地面積は2,000エーカー(800ha)で,生産施設面積は11haです。1温室の面積は1.1haで構成されており,10温室でゴールドストライク,レッドカリプソ,アキト,カラハリ,スウィートユニークなど8品種のバラが生産されています。平均収量は180本/uで,年間2,000万本を出荷しています。「この農場は規模が小さいので,年間の生産量が少なく2,000万本しかありません」と恐縮して言っていたのが印象的でした。
2,000エーカー(800ha)の土地代は50,000〜70,000シリング(88,000〜123,000円)と格安です。
黄色の品種ゴールドストライクを2ha生産していましたが,日本で見る花とは比較にならない花の大きさでした。
総事業費は2億円を要したとのことでしたが,さらに2007年中に温室2棟(2.2ha)増設し,2008年には4棟(4.4ha)の増設を予定しています。
ピラミッド型の人事管理が徹底されており,1名の生産管理マネージャーの基に,2名のシニアスーパーバイザーがおり,温室ごとに1名のスーパーバイザー(計10人)が配置されており,各温室での採花・選花・調整・運搬作業は10人の労働者で行われています。
したがって切花労働者数は200人で,労働者の人件費は110シリング(194円)/日でした。他のケニアの切花生産会社と同様に,従業員の福利厚生は充実しており,病院での医療費,子供の修学費,住居費を会社が負担しています。(1シリング=1.76円)
労働者は濃紺色の制服を着ており,温室ごとに配置されているスーパーバイザーは黄色の服を着ています。スーパーバイザーの賃金は10,000〜1,5000シリング(17,600〜26,400円)/月とのことです。
温室から選花施設までは水の入ったバケツを使用しており,バケツには60〜80本を入れています。バケツの入り数は切花ボリュームの時期によって変わるが,基本的に生産施設で数えています。生産温室内に切花の長さを確認するパネルがありました。ある程度長さごとに区分けしてバケツに入れることで,選花の労力を削減しているとのことです。
色々な運搬車です。リヤカーに日除けをつけたタイプや大八車(青果市場でよく使われる「ネコ」)のようなタイプ,トラクターで牽引して運搬するなど色々あります。
収穫したバラは,全量Flora Holland花き市場に輸出しています。輸出は週4回行っています。黄色のバラのキャンドルブッシュの平均価格(FOB)は1本0.15〜0.3ユーロ(24.3〜48.6円)と極めて高い価格で取引されているとのことでした。
農薬散布は4〜5回/月行います。薬剤は温室内に配管されたパイプラインで供給され,薬剤散布ノズルホースを接続して使用します。
薬剤散布を行う従業員は上下の防水服と防毒マスク,ゴーグルを着けた完全装備で行われます。日本の生産者も見習うべきだと思います。
労働者は温室ごとに配置されていますが,選花・調整は全従業員で行われます。担当温室以外で生産されているバラの品種は区別できないため,選花場での品種間違いがないように,収穫段階で品種名や収穫日を書いたシールを葉に貼り付けていました。
訪問が昼の休憩時間に当たったため選花作業は行われていませんでしたが,60人程度が作業できる選花台,梱包台がありました。
下右の写真は梱包後の切花を切り揃えるカッターで,日本では見かけないものでしたが,同行した愛知県レインボーの大須賀氏が興味深く見ておられました。
冷蔵庫が3室あり,収穫後の切花を入れる冷蔵庫と,選花・調整・梱包後に入れる冷蔵庫は温度が異なっていました。
水は井戸水で,ナイバシャ湖に近いために70mの井戸を掘ればふんだんに出てきます。4km離れた井戸からパイプラインで水を運び,11,000立米の貯水池に用水を貯めています。この貯水容量は10日間の潅水が確保できる量です。貯水池から汲み上げた水はフィルターで濾過して,液肥を混入して潅液しています。
昼休みの休憩時間に訪問しましたが,従業員が芝生の上でノンビリとお弁当を食べながら談笑していたのが印象的でした。人間的に豊かな労働環境なのではないでしょうか。