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ケニアの切りバラ生産

基本概要

国名   : ケニア共和国 (Republic of Kenya)
首都   : ナイロビ (Nairobi) 標高1,624m), 南緯01 19,東経36 55
面積   : 581,677km2 (日本の面積:377,899km2)
人口   : 3,220万人 (ナイロビ 214万人,モンバサ 67万人,キスム 32万人,ナクル 23万人,ナイバシャ16万人)
言語   : 英語,スワヒリ語
宗教   : キリスト教(66%)
平均余命: 47歳
非識字率: 男性11%,女性24%

1963年 イギリスから独立
1964年 ケニアッタ大統領による共和制

国民総生産(GDP) : 146億$(2003年)
1人当たりGNP    : 395$(2003年) = 45,000円

主な産業 : 紅茶,コーヒー,園芸作物(切花,野菜),サファリ観光
ナイロビの気温と降水量
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
平均気温(℃) 19.0 20.6 19.8 19.9 18.7 17.9 16.4 16.6 18.0 20.1 19.3 18.3
最高気温平均(℃) 25.1 27.9 26.3 24.9 21.9 21.8 20.3 22.0 24.7 25.8 23.8 24.0
最低気温平均(℃) 12.9 13.1 13.4 14.9 15.4 13.9 12.5 11.2 11.3 14.4 14.9 13.6
降水量(mm) 73.6 57.9 89.0 209.0 190.5 38.4 17.8 22.8 35.7 55.7 148.3 90.6
年間平均気温 18.7 年間降水量 1,029.3mm ケニア中央統計局調べ(1991年)
3〜5月の大雨季,10〜12月の小雨季,6〜9月および1〜1月の乾季に分けられる。
年間気温は19℃前後で一定し,サバンナ気候に属する。

切りバラ生産の概要

生産地域
 切りバラ生産地は大きく分けてナイバシャ(Naivasha),ティカ(Thika),ケニア山北西部(Nanyuki, Timau),エレゴン山南東部(Elegon)の4カ所に集中しています。標高は,ナイバシャ(Naivasha)が1,800m,ティカ(Thika)が1,450m,ケニア山北西部のNanyukiは2,200m,Timauが2,400m,エレゴン山南東部(Elegon)が2,000mと特徴的な標高となっています。
 最も大きな生産地はナイバシャ湖(Naivasha Lake)周辺で,総面積300haを誇るSher Agencies社を始め,Linnsen Flower社,Maridadi Flowers社,Panda Flowers社などの大規模生産会社が集まっています。
 ティカ(Thika)にはZena Rose社,Gatoka社,Enkasiti Flower Growers社などの生産会社が集中しています。また,ケニア山北西部のNanyukiにはLiki River Farm社,TimauにはBatian Flowers社が生産を行っており,エルゴン山南東部(Elgon:ケニア西部)ではPanocal社とMt. Elegon社が生産を行っています。

生産の歴史
 ケニアでの切花生産は1970年代にNaivasha湖周辺で恵まれた気象条件と低賃金の労働力を活用してカーネーションの生産が始まったことが契機となっています。1980年代になると,バラの生産が急速の増加し始め,1990年代半ばにはカーネーションを抜いて主要切花生産品目となりました。本格的なケニアでのバラ生産は,EUからの補助金を用いて,EUの指導の基で1987年に開始されました。当初は宗主国であったイギリス資本が投入され,1987〜1993年の7年間でバラ生産面積は100haに達し,生産された切りバラはイギリスのスーパーに輸出されていました。この間の投資は主にイギリスとケニア国内の政治家が関与しており,バラに限らずカーネーションなどの生産も増加し,積極的にイギリスを初めとするヨーロッパ市場に輸出され始めました。1993年のケニアの切花面積は100ha程度でしたが,その後急速に生産面積が増加し,1995年には400ha,2001年には750ha,2003年には1,300haとなり,2004年には1500haに達しました。2010年には2,000haを超えるといわれています。
 ケニア以外の東アフリカ諸国における切花生産は1994年以降に始まり,ケニアでの切花生産の成功事例を参考に,ザンビア,ジンバブエ,タンザニアなどの国でも切花生産を始め,2004年にはジンバブエ100ha,ザンビア100ha,タンザニア80haなどとなっており,東アフリカ全体で2400haに達しています。生産品目の内訳を見ると,バラ1800ha,カーネーション150ha,ヒペリカム200haなどで,バラが突出していることが判ります。東アフリカのバラ生産会社数は150以上といわれており,平均生産面積は15ha程度です。なかにはSher Agencies社のように300haを超える生産会社も存在します。
  ケニアでのバラの生産量が増加するに従って,その生産量がイギリス国内での販売許容量を超え始めたため,オランダのアールスメール花き市場への出荷が始まり,オランダ国内のバラ生産会社との競合が始まりました。アールスメール花き市場は,オランダの生産者の出資によって維持されている花き市場であるため,アールスメール花き市場に出荷できる生産者は市場の株を持つ必要がありため,アフリカ諸国の生産会社に株の購入権を与えるかどうかで大きな問題となりました。当時色々な論議が行われたようですが,結局アフリカ諸国の生産会社は株を購入することができず,アールスメール市場は1994年にケニア産切花の市場出荷量の制限を開始しました。
 しかし,毎年40%程度の生産量の増加を示していたケニアは,イギリス以外のヨーロッパ市場での販路拡大を目指していたため,遅れて切花生産を開始し始めたザンビアやジンバブエなどの東アフリカ諸国と共に,独自のコンピュータによるセリシステムTFA(Tele Flower Auction)をアールスメール花き市場に隣接して開設し,アールスメール花き市場と正面から対抗する方策を取り始めました。これによって,アールスメール花き市場のケニア防御戦略は不調に終わることになり,それまで宗主国であったイギリス資本によるケニアでのバラ生産に対して,オランダ資本の投入が本格的に始まることとなりました。すなわち,他国主導の戦略によって自国の長期戦略に基づく花き流通が攪乱されることを嫌うオランダが,長期戦略の方向転換をしても敢えてケニアに投資することで,東アフリカ諸国の生産体制をオランダの管理下に置こうとする戦略転換ともいえる大きな変化であったと思います。言い換えれば,世界の花き生産・流通戦略国を自認するオランダですら正当に認めざるを得ないほどの実力をケニア周辺諸国が持ち始めていたともいえるのかもしれません。
 また,1999年以降になると,それまでの投資国であったイギリスに替わってオランダ資本が積極的に投入され始め,2003年の全体投資額の10%程度をオランダが担うようになりました。オランダの投資会社のほとんどは切りバラ生産会社,あるいはバラ育種会社で,ケニアで生産された切りバラをオランダ国内に輸入し,アールスメール花き市場を通じて自社ブランドで販売するシステムを取っています。
 ケニアで生産されたバラの現在の輸出先は,オランダ50%,イギリス30%,ドイツ10%などとなっていますが,オランダに輸出されたバラのほとんどはアールスメール花き市場を経由してヨーロッパ諸国や日本へも再輸出されています。オランダから日本に輸出されているバラの40%はケニア産といわれており,オランダ産という名前でかなりのケニア産の切りバラが日本に輸出されているといわれています。従ってケニアからの切りバラ輸入量は,植物検疫統計上は254万本(2004年において全輸入量の3.2%)といわれ,インド,韓国,オランダ,ベトナム,エクアドルに次ぐ6番目の輸出国ですが,オランダの472万本のうちの40%,すなわち189万本を加えた443万本がケニア産に相当すると推定され,実際はインド,韓国に次ぐ第3位の輸出国となっているものと考えます。
 ケニア政府は花き産業に対して特別な奨励政策や補助政策をとっていませんが,実質上,ケニアの多くの政治家が農場を所有している現状から,妨害もしないという政策を示しています。

切りバラ生産の実態

生産環境
 生産地の標高は1,800〜2,400mに分布しており,1,800mの場合には年間の平均気温18.7℃(ハウス内は21℃程度),最低気温は5〜12℃(ハウス内も同じ),最高気温は20〜28℃(ハウス内は25〜35℃)で,年中ほぼ一定です。最近では育苗施設用に暖房設備を備えた生産会社も出てきましたが,基本的には無加温のビニルハウスでの生産が行われています。赤道直下であるため強風がなく,イスラエル製のビニルハウスの建設費は3,000円/坪と著しく安くなっています。
 年間降水量は1,000mm程度で,3〜5月と10〜12月の雨季以外はほとんど雨が降らず,熱帯高地特有の高い日射量が確保されます。ただし,紫外線量が多いため,被覆資材はUVカットフィルムの使用が不可欠で,強い日射に対して花が屈光性を示して曲がらないように,散乱光となるような特殊フィルムを使用しています。
 年間降水量の少ないケニアでは,用水の多くをケニア山を源流とする河川やNaivasha湖から導水しています。しかし,近年のケニアにおける問題点の1つに水質汚染問題が挙げられています。バラ生産会社が集中するNaivasha湖では水位の減少が急速に進んでいると指摘されており,ラムサール条約で指定されているNaivasha湖ではフラミンゴなどの鳥類の生息に大きな影響を与えていると指摘されています。また,ケニア山を源流とする河川の流域でも流量の低下が大きな問題となっており,住民の生活用水にも影響を与えています。
 この様な状況から,雨水利用に対する取り組みも積極的に行われ始めていますが,国際的なケニアの切りバラ生産の優位性の1つに生産コストの安さが挙げられる以上,新たな設備投資はケニアの国際市場での優位性を低下させることに繋がり,将来に対して大きな不安要因となっています。
 従って,潅水システムはイスラエルより導入した養液土耕(点滴潅水システム)が中心となっていますが,さらなる節水対策としてクレイボールやパーライト,ココピートによる養液栽培システムやロックウールシステムの導入なども取り組まれています。

労働条件
 ケニアにおける切りバラ生産の増加と密接に関係しているのがコーヒーの国際先物取引市場の低迷です。ケニアの最大の産業であったコーヒー産業の低迷は失業率にも大きく影響しており,2004年の失業率は60%といわれています。
 労働者の勤務時間は週44時間で,1日の平均給与は1.0〜1.5$(110〜170円)です。しかし労働環境はオランダ並みで,疾病保険などの福利厚生は充実しており,給料の他に住宅手当が支給され,会社までの通勤用のバスも会社が手配しています。また,1日8時間の労働時間を超過した場合には1時間の基本給の15%増の給与が支給され,休日出勤の場合には20%増の特別手当てが支給されます。安い人件費を有効に活用するためほとんど機械化は進んでおらず,畝たて,定植,栽培管理のほか農園の開発・整備などもほとんどが人力で行われており,いずれの農場でも大型機械というものを目にすることはありませんでした。
 一般に,1人のマネージャーが適切に管理できる経営規模は、20ha程度といわれており,1haのビニルハウスの生産・収穫管理には20人程度の現地従業員が必要であるといわれています。現地従業員の70%が女性です。従って20haの農場の場合には,1名の現地マネージャー(インド人,あるいはケニア人)に対して,最低400人程度の現地従業員が配下で働いていることになります。

切花の輸送
 1990年代のケニアからの切花輸送は,ヨーロッパから運ばれる援助物資の戻り便を活用していましたが,2000年に入るとヨーロッパからの援助が次第に減少し,貨物便の輸送バランスが崩れ始めました。これを解消する目的で,アラブ首長国連邦(UAE)のドバイにフラワーセンターが2005年に建設されました。アラブ首長国連邦(UAE)は原油生産国であり,基本的に税金を課すシステムがないため,ドバイに持ち込まれる切花は関税がありません。東アフリカ諸国の切りバラを一手に集中して,ヨーロッパやアジアに再配送するシステムが確立されるようになり,スムーズに荷が動くようになると,ドバイを経由した国際取引が活発化し,オランダのアールスメール花き市場もヨーロッパでの機能が低下すると共に,中国や日本への輸出量も今後一層大きくなるものと考えます。
 ケニアの生産会社からの切花の輸送はコールドチェーンが徹底されています。収穫された切花は,選別後速やかに冷蔵室に運ばれ,輸出にむけて箱内温度を4℃以下に下げられます。生産会社はいずれも空港まで2時間程度の距離にあり,予冷庫でで4℃に調整されたバラは空港までの運搬過程で箱内の温度は2℃上昇して6℃となります。空港に到着したバラは,夜間まで空港の低温室(2℃)に保管されて航空機に積み込まれますが,航空機に積み込んだ時のバラの温度は8℃程度に上昇し,その後8時間の航空輸送中にバラの温度は12℃まで上昇します。オランダでの通関には4〜6時間を要するため,Aalsmeerの花き市場に到着した時のバラの温度は15℃となっています。このように,出荷・輸送中の温度履歴は,農場を出発する時に温度自動測定器を入れて行われるため,明確な温度グラフとして示すことが可能で,流通履歴の保証を徹底しています。

生産上の課題
1.苗生産と品種問題
 ケニアでの切りバラ生産における大きな問題の1つに根頭がんしゅ病が挙げられています。根頭がんしゅ病はAgrobacterium tumefaciensによって発病する土壌伝染性病害の1つで,根頭がんしゅ病に感染すると植物体の生育が急激に低下し,収量の低下を引き起こします。これを回避するために台木の組織培養が用いられており,Natal Brierの培養苗が利用されています。
 ケニアで生産されているバラ品種はオランダ,ドイツで育種された品種がほとんどで,ドイツのKordes,Rosen Tantau,フランスのMeilland,オランダのTerra Nigra,Stockman Rozen,InterPlant Roses,Olij Rozen,Schreurs,Hilverda,Jan Spek Rozen,Lex+などほとんどの育種会社が進出して専用展示農場を持っており,現地での苗生産も行っています。
 ケニアの花生産者に対しては,オランダの種苗会社がバラ品種を供給しているため,パテント(ロイヤリティー)に関する問題は発生していません。しかし,この影響もあって,ケニア国内ではバラの育種は全く行われておらず,全ての品種がヨーロッパでの育種品種であり,この点からも「ケニアの花産業」は「ケニアにあるヨーロッパ人の花産業」であるということができます。

2.環境対策とコスト低減
 ケニアの主要花き生産地であるNaibashaは湖畔の街であり,生産者は湖に流入する河川の水を栽培に利用するとともに,生産施設から出る廃液は直接,湖へと垂れ流されています。ケニアにおける環境問題には,河川の枯渇と河川や湖の水質汚染があります。しかし,今回の視察において河川の枯渇に関しては非常に大きな問題であると認識している生産者は多く見受けられましたが,湖水の汚染に関しては特に問題視しているとは思えませんでした。これは,河川の枯渇は花き生産に対して直接的なダメージを与えますが,湖水からの取水を行っていないため,ほとんど意識の中に入らなかったことが要因であると推定できます。また,湖水の汚染に関して明確な環境指標がなく,政府からの注意喚起程度の措置がとられているにすぎません。従って,Maridadi Flowersのように廃液の垂れ流しを行わない完全循環型へと移行している生産者の多くの理由として,栽培にかかる肥料等のコスト削減と節水が大きな目的であるということができます。環境への対応は,環境問題に非常に関心があるヨーロッパの消費者へのPRということができると思います。同様の目的から,ほとんどの農場ではMPS-ABC認証を受けています。

3.流通経費の増加と関税問題
ケニアにおける切花生産では,施設に対する投資よりも,ケニアからヨーロッパまでの航空運賃の方が大きな負担となっています。また,2008年までは,ケニアにおいて栽培された切りバラは輸出関税が免除されていますが,それ以降は関税がかかるため,輸送費と関税の問題をどのような形で解決するのかが今後のケニアの花栽培の大きな分岐点になると思われます。この点で,UAE(アラブ首長国連合)のドバイフラワーセンターの動向が注目されるところです。

生産状況
 バラ生産施設は,スチール製のビニール温室(イスラエル製のCLEAR504など)で,点滴土耕栽培が主体です。バラの単位面積あたりの収量は,200万本/haと著しく高い収量性を維持しています。ケニア産のバラのオランダでの市場取引価格は1本あたり16〜17ユーロセントです。
 ケニアの生産施設内の湿度環境は,夜間に80%程度まで上昇し,昼には60%程度まで低下します。このような湿度環境ではウドンコ病の発生が懸念されますが,いずれの生産施設でもイオウの薫煙装置が設置されており,防除が行われていました。
 ケニア産のバラの30〜40%はイギリスに輸出されているが,その60%はスーパーに直接配送されています。ケニアでスーパー専用のパッケージ包装が行われ,専用バーコードや価格が印刷されて出荷されていました。
 収穫後の鮮度保持処理として,生け水のpHをクエン酸で3〜3.5に調整し,4℃に冷却した生け水で最低でも4時間吸水させる処理が行われていました。
 近年,ケニアは安い人件費を活かしてプリザーブド・フラワーの生産・輸出が急増しており,2003年の日本への輸出額は854,000$(9,800万円)に達しています。
 ヨーロッパ市場が成熟し,ケニアのバラの輸出拡大が次第に困難な状況となっている現状から,将来の拡大市場としてロシア,中国,日本をターゲットとしたマーケティングが行われようとしてます。

ケニアの気候とエクアドル・コロンビアの気候の違い

 エクアドル・コロンビアはケニアと同じ赤道直下の切花生産国です。しかし下の表にみられるように,ケニアより標高が1000m以上高いため,平均気温が5℃程度低い特徴があります。ケニア,エクアドル,コロンビアともに無暖房の生産施設でバラが栽培されているため,この大きな差は最低気温(夜間気温)の差として表れます。すなわち,エクアドルやコロンビアでは最低気温が低いため到花日数が90日と長く,その結果として切花の花蕾径が10cmにも達する巨大輪となります。これに対してケニアでの到花日数は45日程度です。主に中輪系品種を生産していますが,最低気温が低く最高気温が高いため,大輪系品種と同等の大きさまで花蕾径は大きくなります。
地点 標高(m) 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
エクアドル Quito 2,794 13.6 13.5 13.8 13.8 13.9 13.7 13.7 13.8 13.6 13.4 13.5 13.6 13.7
コロンビア Bogota 2,547 13.0 13.2 13.7 13.8 13.8 13.6 13.2 13.1 13.2 13.2 13.3 13.0 13.4
ケニア Nairobi 1,624 19.0 20.6 19.8 19.9 18.7 17.9 16.4 16.6 18.0 20.1 19.3 18.3 18.7

ケニアが抱かえる問題
 ケニアは人件費の安さと,恵まれた気候,治安の良さなどの観点から,この20年間,急速に花き産業が成長を遂げてきました。しかし,賃金の高騰や環境問題に対する対応策などから急速のその有利性が小さくなりつつあります。
 オランダ人の投資家達がケニアに続く投資国として注目しているのはエチオピアです。エチオピアは社会主義国ですが,政府が産業振興に積極的で,多額の補助金を準備して外貨の導入を促しています。治安は比較的良く,人件費はケニアよりもさらに安く,豊富な森林をバックにした水資源に加えて,1500〜4000mまでの標高地があることから,次の世界を席巻する大産地となると予想されています。今後10年間で,オランダをはじめとする海外投資家のエチオピアへの移動が始まり,ケニアの空洞化が危惧されています。