Ekakarya Graha Flora
Cipamingkis, Suabumi, Indonesia
2010年9月1日にEkakarya Graha Flora社を訪問し、山口明文氏に案内をいただきました。
Ekakarya Graha Flora社は中国華僑資本のコチョウラン生産会社で、ジャワ島西部のSuabumi県Cipamingkisの標高1000mにあります。施設面積は4000坪です。従業員とパート労働者をあわせて40人を雇用しています。
この農場の他に標高の低いKarawang県Cikampek村に組織培養施設を併設した13000坪の苗生産農場があり、70人の従業員を雇用しています。また、Cikampek村には露地8000坪のデンファレ生産農場があります。
当初、1997年に台湾の青波(陸仕)との共同出資で生産会社を設立したが、その後台湾出資者が撤退し、現在では独資で経営しています。
温室は外部遮光が設置された鉄パイプによる施設と木造施設です。パッド&ファンを設置した温室もありましたが、現在は稼働していないとのことでした。
インドネシア国内にコチョウラン鉢物を毎週40000株出荷販売しています。主な出荷先はジャカルタ、バリ、バンドンのホテルやレストランで、装飾用として販売しています。インドネシアは日本のような花き市場がないため、営業担当職員が個別にホテルやレストランを回って営業を行います。商品開発が重要で、コチョウランの寄せ植えが作られていました。販売価格は、下左の2つが600,000RP(6000円)で、下右の寄せ植えが1000,000RP(10000円)とのことで、日本より高いかもしれません。
インドネシアのコチョウランマーケットは白花が70%とのことで、日本より白花の需要が高いようです。ジャカルタに出荷したコチョウランは低温がないため二度と咲くことはなく、必ずリピート注文がありますが、バンドンは標高が高いため適当な低温が自然に確保され、次々と咲き続けるそうです。
日本への苗の輸出を行っており、毎月20000株を輸出しています。オーストラリアへの苗輸出は月10000株で、その他シンガポールへも輸出しています。
以前は育種も行っていましたが、コチョウランは交配親の優良形質に依存する性質が高く、インドネシアでは優良な交配親の確保が難しいため、現在は特別な育種は行っていません。
以前の育種の名残ですが、花付きが良く、花の大きさ、左右のバランスが良い個体がありましたが、培養での増殖が難しく、結局育種に使用することが出来なかったそうです。
日本の生産者が交配して結実した果実をインドネシアまで送ってもらい、無菌播種および育苗と選抜の業務を受託しています。今回は訪問できませんでしたが、Ekakarya Graha Flora社は組織培養施設を併設した13000坪の苗生産農場を持っており、無菌播種して鉢上げした個体を年中気候が安定したインドネシアで育苗、山上げし、開花した段階で選抜し、優良個体をメリクロンで増殖して交配した日本の生産者の基に苗を輸出します。
選抜に洩れた個体はインドネシア国内で鉢物として販売します。コチョウランの育種には、交配親の優良な形質が大きく影響するため、選抜に洩れた個体であってもインドネシア市場では充分に販売可能ですので、育種ロスはありません。
ミズゴケで植え込んで栽培しています。現在、ミズゴケはチリ産と中国産を使用しています。インドネシアのパプア島(ニューギニア島)にも良質のミズゴケが産出するそうです。以前、パプア島からミズゴケを購入したことがあるそうですが、貨幣経済が成立していないため、豚や米とミズゴケの物々交換で商談が成立するとのことです。「安いのか高いのか判らないので、取引をやめた」といっておられました。
開花株は、寄せ植えを行い付加価値を付けてホテルやレストランに販売するほか、開花個体としても出荷しています。花に傷が付かないように日本と同じように和紙で花をくるんで箱に詰めます。
出荷箱の表記はすべてインドネシア語でした。以前は英語表記していたそうですが、「出荷箱は5段積みまで」の制限用語が理解してもらえず、やむなくインドネシア語表記に変えたとのことでした。