2012年7月にKoppert Cress社を訪問しました。
Koppert Cress社はオランダのWestlandにある会社で、1.7 haのスプラウト生産施設があり、2006年からスプラウトの生産を開始しました。
(Koppert Cress社では「Micro-Vegetables」と表現していました。こちらの方がカッコイイですねぇ。)
Koppert Cress社のコンセプトは、日本の「カイワレダイコン」とは大きく異なっており、「Architecture Aromatique(香りの創造)」です。料理の中に「香り」を取り入れることで豊かな食文化を作り出すために、「スプラウトを生産して供給する」ことを考えています。
HACCP認証を受けています。2011年6月にドイツでO-157の死者が出た時には、日本と同じようにスプラウトが原因ではないかと疑われたとのことでしたが、Koppert Cress社では、消費者との直接対話ができたことで解決しています。品質を重視するために、オランダ人労働者のみで運営しています。(ポーランド労働者はいない)
会社の説明をいただいたエントランスはショールームになっています。
生産・販売している商品が並んでおり、大きなピンセットを使って自由に試食できます。
日本人にはおなじみのカイワレダイコンやブロッコリーなどのスプラウトがありました。
Chilli Cressは赤カブのスプラウトで、日本ではありません。
クローバーの葉は噛むと酸っぱい味がしました。
日本では多肉の観葉植物として売られている「朧月(Graptopetalumの仲間)」の葉はMajii Leavesという商品名で、恐る恐る食べてみましたが、塩味がしました。
ウツボカズラの壺はVenus Vaseという商品です。飲み物の器として利用するようです。
Koppert Cress社では、世界各地の伝統食文化の中で活躍している香草(heirloom herbs)を導入して商品化しています。このページの最後に、その一部を紹介しました。
大麦若葉ドリンクが出されました。青汁のイメージがあったのですが、オレンジジュースと割ってあるため、飲みやすいさっぱりとした味でした。
Koppert Cress社は市場出荷を行っていません。Koppert Cress社のスプラウトの納入先はレストラン、ホテル、外食産業で、直接営業して販売・納入を行っています。
Koppert Cress社の商品を販売するレストランと直結することで、料理人(シェフ)達に高い評価を得ており、新たなニーズを的確に把握すると共に、消費者から利用法を募集して商品化を進めているとのことです。
レストランのシェフと共同で利用法を開発し、消費拡大を図っています。
エントランスの横には厨房が設置されており、下の写真の調理器はMolteni社の超高級厨房で2,600万円します。ヨーロッパでMolteni Podium IVを設置しているのはKoppert Cress社だけとのことです。
Koppert Cress社が日本のスプラウト生産会社と大きく異なるのは、スプラウトの利用法を積極的に発信していることです。
ホームページには、様々なレシピが掲載されており、FaceBookページでも楽しくなる料理のレシピが紹介されています。
日本では、カイワレダイコンなどのスプラウトはウレタンスポンジなどが培地として用いられていますが、Koppert Cress社ではセルロース培地を使用していました。
吸水性に優れて根の成長が早いことに加えて、環境対策や清浄イメージを大切にしています。
ヨーロッパ全土に加えて、2007年にはアメリカ・ニューヨークで2,700uの生産施設を建設して、北米でもビジネス展開を図っています。
日本では村上ファームと提携を進めています。
生産施設を見学しましたが、残念ながら撮影禁止でした。1.7 haの生産施設は極めて清潔に管理されていました。
コジェネレーションシステムが導入されており、地下水を利用した大規模ヒートポンプ施設がありました。
高圧ナトリウムランプで補光が行われていましたが、LEDランプに強い興味を示していました。高圧ナトリウムランプの補光では、ランプから発生する赤外線による葉焼けの影響を回避するために、光源からベンチまでの距離を高くしなければならず、施設利用効率が低下します。さらに冷房を行う必要があり、生産コストの上昇を招きます。
これに対して、LEDは熱発生が少ないためにランプからベンチまでの距離が短く、2階建ての生産施設が建設でき、冷房による負荷も小さくなります。
Affilla Cress (豆苗) |
Atsina Cress (甘草) |
Basil Cress (バジル) |
Borage Cress (ルリジサ) (Borago officinalis) |
Chilli Cress (アカカブ) |
Daikon Cress (カイワレダイコン) |
Garden Cress (コショウソウ) (Lepidium sativum) |
Ghoa Cress (コリアンダー) |
Honny Cress (ステビア) |
Kikuna Cress (春菊) |
Mustard Cress (マスタード) (Brassica nigra) |
Persinette Cress (パセリ) |
Rock Chives (チャイブ) (Allium schoenoprasum) |
Rucola Cress (ルッコラ) |
Sakura Cress (赤ダイコン) |
Salicornia Cress (アッケシソウの仲間) (Salicornia bigelovii) |
Scarlet Cress (アマランサス) |
Sechuan Buttons (Acmella oleracea) |
Shiso Green (青シソ) |
Shiso Purple (赤シソ) |
Apple Blossom (Begoniaの花) |
Majii Leaves (多肉植物) (Graptopetalumの仲間) |
Pepquino (Pepquino melon) |
Wheat Grass (オオムギ若葉) |
Venus Vase (ウツボカズラ) |
Citra Leaves (クローバー) |