「Cultra」はアールスメール花市場内に4,500uのフロアー面積を占めるヨーロッパ最大の仲卸会社です。オランダを始めヨーロッパ全土に26支店を持ちm切花、鉢花、花束、陶器鉢や園芸資材を取り扱っています。この展示場を見ると、ヨーロッパの下記業界の流れを見ることが出来るため、アールスメール花市場を訪れる際には必ず訪問しています。
イスラエル産 長さ50cm 1本30円 |
ケニア産 長さ60cm 1本25円 |
オランダ産 長さ80cm 1本50円 |
オランダ産 長さ90cm 1本76円 |
上の写真4枚は、切りバラの品質と価格を示したものです。3年前に訪問したときには、ほとんどのバラの価格は「1本30〜40円」でした。左の写真のバラは「イスラエル」からの輸入バラで、切花の長さは50pで、ケースに20本束が4束入って22ユーロ(1本約30円)です。左から2枚目は「ケニア」のバラで、切花の長さは60pで、ケースに20本束が4束入って18ユーロ(1本約25円)です。右の2枚はオランダ産のバラです。切花長は70〜80pで、ケース当たり30〜40ユーロ(1本42〜55円)、最も切花長が長いものは90pで55ユーロ(1本76円)の価格がついていました。
オランダ産のバラはラップに生産者と品種が明記されており、明らかにケニアやイスラエルを意識した差別化戦略と考えられます。
私のHPのリンクのコーナーの「海外のバラの育種会社」を見ても判るように、20社のうち11社がオランダの育種会社であることからも、オランダの戦略は『品質の高い最新品種をEU圏内に販売し、低価格の大衆消費のバラはケニアやイスラエルに任せる』という戦略と考えます。日本も国内市場のみを考えるのではなく、オランダのように「アジア圏をターゲット」にした販売戦略を考えていく必要があると考えます。
他の切花で見られた特徴は、「自然を感じさせる切花」とでもいえるものです。上左の写真はアワの仲間とカヤツリグサの仲間の切花です。「こんなものが」と思うものが切花として販売されていました。
同じように鉢花でも、「クチナシ」「コスモス」「キョウチクトウ」などの庭にありふれた素材が鉢物として販売されていました。このような植物は、これまで鉢物で鑑賞する素材として取り上げてこられなかったものではないでしょうか。また、完成したペチュニアの大鉢物は5.50ユーロ(約600円)で販売されていました。
上左の写真はスパティフィラムです。日本では花(苞)の白色がハッキリしたものが好まれているようですが、苞に緑が絞りのように入った品種が販売されていました。最近「斑入りのスパティフィラム」が販売され始めたことと関係があるかもしれません。上右の写真はサボテンですが、本物の「実付きのサボテン」です。日本では、サボテンに造花が付けられて販売されていますが、この他にも結構多くの「実付きのサボテン」が並んでいました。この傾向は、上の写真にもある「自然を感じさせる切花」や「ありふれた素材の鉢花」とも共通した『自然回帰』や『本来の植物を観賞する』動きと考えられます。
『自然回帰』と関係する光景を見ることが出来ました。Cultraの玄関外で、山のように積まれた牧草を使って、10人くらいの女性が一生懸命牧草を使ったアレンジメント(ディスプレイ)を作っていました。
その他の特徴ある動きとしては、@「スタンダード仕立てのバラ」が数多く販売されていました。普通のガーデンローズの苗は見ることが出来ませんでした。ヨーロッパではスタンダード仕立てのバラがブームになるのでしょうか?A切花用品種のアンスリウムが大鉢で仕立てて販売されていました。これまでも切花用品種の鉢物化は見られましたが、わい化剤を使用して中鉢に仕立てることが多かったのですが、わい化剤を使わず高さが1.0〜1.5mの大きな鉢物として販売されていました。B数多くの吊り鉢も見ることが出来ました。日本では20年前に「吊り鉢ブーム」がありましたが、もう一度ブームが来るかもしれません。C『自然回帰』の一環ともいえますが、ヘゴシダの大鉢が多数並んでいました。