●北京花郷緑景園芸中心(北京市)
北京花郷緑景園芸中心は,1996年設立の『北京市花郷賓芳花園』から,2002年に鉢物相対市場として設立されました。北京南四環路・花郷橋出口から南へ1kmの位置にあり,交通も便利です。
主な業務内容は,各種花卉の卸および小売,緑化設計施工,苗や花卉の栽培,フラワーアレンジメントなどです。
北京花郷緑景園芸中心には18,000uの温室があり,そのうち10,000uが花卉栽培に,8000uが販売施設として使用されています。また,6,000uの露地栽培農場もあります。従業員は約40名で,技術員数名が勤務しています。
海南省と広州市に栽培基地を所有しており,生産から販売まで一貫して行う市場として特徴づけられています。下の写真は,広州で生産された観葉植物を搬入している風景で,恐らく列車で輸送された観葉植物をトラックで積み込んでいるものと思います。また,サボテンを販売しているコーナーもありました。
コチョウランが多数販売されていました。同行した西日本花き(株)の方は「日本ではゴミ同然で,売り物ではありません」とのことです。
理由として,下の写真に示しましたが,ほとんどの商品に「病気によるシミ」,「花弁の奇形」,「ナメクジによる食害」,「輸送中のスレ傷」がみられました。また,花茎の輪数が少なく,平均で4輪程度でした。
1月に市場調査をしたところ,「来年(2005年)の中国のコチョウラン市場は,過剰生産によって大暴落する」と予想されていましたが,ようやく『量から品質』への転換期が訪れ始めたものと考えます。中国のコチョウランは,今後,日本のような高品質のものだけが流通するようになるのではないでしょうか。
北京花郷緑景園芸中心の周辺は「花郷」という地名で,昔からの鉢物産地が広がっています。零細な農家がほとんどですが,なかには大規模農場を持つ生産会社も現れ始めました。
訪問したのは4月だったのですが,発芽したばかりのシクラメンと大きく生長した苗とが一緒のハウスのなかにありました。全般的に中国のシクラメンはかなり生産技術が向上してきていますが,まだまだ生産技術情報が広く浸透しているとはいえないのかもしれません。