★「孫橋現代農業開発区」(上海市)
上海市浦東新区張江鎮孫橋?北路185号
1999年6月に雲南省昆明で開催された昆明世界園芸博覧会(昆明花博)の視察の折りと,2006年2月に研究室の卒業研修旅行で訪問しました。
現代孫橋現代農業開発区は1994年9月に設立されました。総面積は4平方kmで,オランダから施設を導入し,コチョウラン,グズマニア,トマト・パプリカ・キュウリなどの果菜類,キノコの他,魚の養殖なども行っています。また,野菜や花の種子生産・販売の他,組織培養による苗生産,キノコなどの食品加工も行っています。開発区に参画・投資している企業は19社で,総従業員は500人です。
現代孫橋現代農業開発区では通常の生産を行っていますが,上海市民の農業観光施設としての機能も兼ねています。訪問した時にも多くの市民が観光バスで見学に訪れていました。最も多かった年で260万人が訪れたそうです。入場料は30元(450円)でした。
私自身は昆明で開催された世界花博覧会の折に訪問したことがあり,今回の訪問は2回目です。1999年の訪問の時には,当時としては最新の生産施設であったこともあり,多くの市民が観光に訪れており,観光名所といった感じがありました。しかし,2006年の訪問では12年が経過しており,この間に中国の農業生産施設の著しい発展を遂げていることもあって,新鮮味が少なくなっています。しかし,果菜類の生産は開設当初から行っていることもあって,技術レベルは高く維持されているものと思います。
果菜類の生産施設は1996年に建てられた施設で,オランダ導入温室と中国国内産温室との比較が行われていました。中ではトマト・パプリカ・キュウリなどの果菜類の水耕栽培が行われており,炭酸ガス施与を行っていました。果菜類の総生産面積は3haで,7〜8人の技術員が担当しているとのことです。
生産方式はピートバックカルチャーが主体ですが,プランタを用いた生産も試みられています。黄色や青色のトラップシートの活用,天敵の導入,網を張り巡らして害虫の侵入を防ぐなどのIPM(Integrated Pest Management:総合的病害虫管理)を導入した無公害的緑色食品として航空会社,ホテル,スーパーなどに販売しています。パプリカの販売価格は10元/個とのことです。1999年に訪問した時にも,富裕層を対象に宅配での有利販売を行っていました。
トマトなどは受粉作業が重要です。以前はヨーロッパマルハナバチを導入していましたが,蜂の価格が1$/匹と高いこともあって,人力でトマトの株全体を定期的に揺すって,まさに人力受粉を行っていました。蜂より人件費の方が安い?
コチョウランの生産は台湾農林集団が出資している中鼎生物科技上海有限公司が生産を行っています。年間40万鉢の生産能力を持っています。コチョウランの主な販売時期は,春節,メーデー,国慶節の他,最近では結婚式での利用が多くなっているとのことです。
鉢物生産は,展示と生産の併用が行われていました。大鉢の観葉植物は会社などへの販売を目的にクレイボールを使ったハイドロカルチャーでの生産が行われていました。
中国特産(?)のガジュマルの小鉢の盆栽仕立てが大量に生産されていました。
挿し穂を小さく切ったオアシスに挿して,パーライトでの挿し木を行っていました。