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(有)東海バイオ
 【コンポスト生産】
 (岐阜県恵那市)

2005年6月1日に柘植森衛社長の案内で岐阜県中津川市付知町のコンポスト生産施設を視察し,柘植森衛社長の熱き思いをうかがいました。
 柘植森衛氏は酪農家の次男として生まれ,様々な経歴の後,早稲田大学の大友俊允教授の「タクラマカン砂漠を堆肥で緑化する」という夢に触発されて堆肥事業に乗り出しました。1995年から早稲田大学新庄バイオマスセンター(現玉川大学学術研究所新庄バイオマスセンター)の大友俊允教授の指導の基,好気発酵微生物(アグロソイル)を用いたコンポスト製造に興味を持ち,コンポスト生産を試験製造してきました。その過程で長崎県雲仙普賢岳の緑化事業に関わり,現在の(有)東海バイオを設立して本格的なコンポスト製造に乗り出しました。
 東海バイオでは,2000年から木曽三河川や庄内川の刈草肥料化処理事業を受注するとともに,2000年に発生した恵南豪雨災害の流木肥料化処理事業にも参画し,庄内川の流倒木5000uの堆肥化処理を行ったことで注目され,急成長してきました。
 現在製造しているコンポストの材料は,木質粉砕チップ,枯草,畜糞などで,これらに液体培養で増殖させた好気発酵微生物(アグロソイル)を添加して約3ヶ月で発酵を完了させています。完成したコンポストは微生物入り土壌改良資材「大友(タイユー)一号」として販売しています。

  

 平成15年2月には岐阜県恵那市に中野方バイオマスセンターおよび中津川市付知町に付知バイオマスセンターを開設し,年間7000tの生産能力を有しています。
 このように,東海バイオでは流倒木,建築木質残査,東濃ヒノキの製材残査,不法投棄された木質廃棄物などの木質材料を積極的にコンポスト資材として活用すると共に,これに加えて,河川の堤防の除草残査などを積極的に利用し,自社所有の好気発酵微生物(アグロソイル)を用いて短期間にコンポストを製造しています。
 製造したコンポストは山林火災現場での植林事業での提供や国土交通省木曽三川公園および花フェスタ記念公園での植栽などに利用されており,2003年3月には岐阜県環境保全協会より「創意工夫功労賞」を受賞しています。
 訪問した当日も,建築資材廃棄物や流木などが持ち込まれており,タブグラインダーで木質チップにされていました。

  

 発酵温度は75〜90℃近くになり,発酵の程度を見ながら,ほぼ毎週切り返しを行い熟度を進めていきます。アグロソイルの高い好気発酵特性のため,アンモニアなどの臭気はほとんどなく,発酵過程が進んでいきます。

     

 東海バイオの堆肥の特徴の一つに,高い好気発酵特性を有する菌「アグロソイル」を挙げることができます。高い好気性特性を示すエピソードを柘植森衛社長から伺いました。
 岐阜県M市でオカラの不法投棄があり,岐阜県健康福祉環境部から悪臭処理の依頼がありました。現地にうかがうと強い悪臭が周辺に漂い,周辺住民からの苦情が殺到していました。早速アグロソイルを堆積したオカラに噴霧した所,2日後には悪臭が消えていた。
 恐らく,オカラから発生したアンモニアなどの揮発性物質が表面に噴霧されたアグロソイルによって酸化されて水溶性となり,悪臭がなくなったものと推測します。